なぜアイルランドで戦うのか? 24歳日本人FW、欧州中堅国の現実と“逆輸入”の野望

アイルランド2部キャビンティーリーFCの秋元海人【写真:本人提供】
アイルランド2部キャビンティーリーFCの秋元海人【写真:本人提供】

昌平高出身の秋元海人、サッカーと英語を両立できる環境を求めてアイルランドへ

 今年2月、“欧州のシリコンバレー”とも言われるアイルランドで史上3人目の日本人プロ選手が誕生した。リオデジャネイロ五輪世代にあたる1996年生まれのFW秋元海人だ。関東サッカーリーグから這い上がってきた叩き上げのストライカーが、日本で馴染みの薄いアイルランドリーグを挑戦の場に選んだ理由とは――。

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 昌平高(埼玉)出身の秋元は、3年次の2013年にインターハイと高校選手権予選で県ベスト4に入ったのが最高位。FWオナイウ阿道(横浜F・マリノス)を擁する正智深谷高に阻まれ、全国大会の経験なく亜細亜大へ進学した。その後、2年次に退部して関東サッカーリーグ1部のFCコリアに入団。2018年にアイルランド(現FIFAランキング34位)への挑戦を決断することになる。

 国内では無名の存在で、当時はJクラブなどからオファーもなかった状態。そのなかで、外資系の企業に勤める父親が英語を操り、小さい頃には何度も家族で海外旅行をしていた経験から、抵抗なく自然と海外に目を向けていたという。

「正直、自分はJリーグのクラブから声がかかるレベルではなかったので、一度外に出て土台を作って、“逆輸入選手”になってやろうと。今後のキャリアを見据えた時に英語ができたほうが自分の視野を広げられると思い、まずはヨーロッパで英語圏の国を目標にしました。イングランドはリーグを問わず、就労ビザの問題でプレーするのは現実的に難しい。1部まで上がるチャンスがある中堅国で考え、アイルランドはまだ日本人選手がほとんどいなかったので、直感的にすごくいいなと思いました」

 大学で英語の学部を出ていた秋元は、語学学校に通ってしっかりベースを磨いてからアイルランドへ。3部のポートマーノックAFCから海外キャリアをスタートさせ、同じ3部のバリーマン・ユナイテッドへのレンタルを経て、2019年夏にポートマーノックへ復帰。得意の左足シュートを武器にFWとして前期13試合11ゴールの好成績を残し、今年2月に首都ダブリンに拠点を置く2部キャビンティーリーFCとの契約を勝ち獲った。

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