プロ未経験の日本人、なぜメキシコ五輪代表コーチに? 「今に見ていろ」の反骨心と“固い絆”

U-23メキシコ代表の西村亮太コーチ【写真:福岡吉央】
U-23メキシコ代表の西村亮太コーチ【写真:福岡吉央】

【U-23メキシコ代表・西村亮太コーチの挑戦|後編】母国での東京五輪出場を目指し、ハイメ・ロサーノ監督の下でコーチ就任

 メキシコから指導者として、東京五輪出場を目指している日本人のコーチがいる。U-23メキシコ代表の西村亮太コーチだ。プロ経験のない34歳は、メキシコで指導者資格を取り、中米のサッカー大国でU-23代表コーチの地位までのし上がってきた。後編では北中米カリブ予選、そして母国日本で行われる五輪への思いについて訊いた。

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 西村氏は2017年に、メキシコ1部ケレタロでトップチームのコーチを務めた。成績不振で、最終的には監督とともにクビになるという厳しい現実を突きつけられたが、それでも翌18年には一筋の光を見出す。メキシコサッカー連盟が、17年にケレタロでコンビを組んでいた指揮官ハイメ・ロサーノを、次期U-23代表監督候補として考えているという話が飛び込んできたのだ。

 ロサーノから「次、どこに行くとしても一緒に来てくれ」と頼まれていた西村氏は、2人でプロジェクトを組み、戦術などを考えてメキシコ連盟にプレゼン。国内のトップチームの監督たちと会い、練習を見て回り、戦術の引き出しを増やした。だが、プレゼンの内容は評価されたものの、すぐに就任が決まることはなかった。その間、リーグの1部、2部の複数チームからコーチとしてのオファーも届いた。生活のこともあり、迷いかけた時期もあった。

 だが、五輪代表チームのコーチというポジションなど、そう簡単には巡ってこない。ましてや、母国日本で行われる東京五輪。 自ら五輪代表の可能性を捨てることはできなかった。そして1年間の無職期間を経て18年12月、正式にU-23メキシコ代表コーチ就任が決まった。

「準備はしていたので、自信はありました。1年間のスタンバイ期間が実ったなと思った。予選を勝てば東京五輪もある。それに参加するチームの一員として戦えることに対して、希望にあふれていたし、明日にでも始めたいと思うくらいやる気が漲っていた。同時に、外国人としてメキシコ代表のために働くという自覚と責任感をしっかり持とうと思った。しっかりやって、『だからこいつはここにいるんだな』と周りのメキシコ人たちから認めてもらえるようにしようと思いました」

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