1得点1アシストで大会MVPのミラン本田を元イタリア首相ベルルスコーニ会長も絶賛
この日、第1試合のユベントス戦で3トップの右サイドで先発出場した本田がいきなり見せた。前半29分、中盤でボールを奪ったポーリが左サイド深くへと展開。パスを受け取ったデシリオは、マイナスのクロスを中央に送る。そこに、本田がマークにつく相手DFを引き剝がすと、右サイドからニアへと走り込んだ。グラウンダーのボールを左足で上げると、相手GKの頭上を抜くシュートでゴールネットを揺らした。
さらに、40分には、この日のFKのキッカーを務めた本田が再び観衆を沸かした。ゴールから右約25m付近で自ら獲得した直接FKを蹴り込むと、本田の左足を離れたボールはクロスバーをかすめて外れた。ミランは、本田の挙げた1点を守り切って先勝を果たす。
そして、3戦目のサッスオーロ戦は、8分にメネスがPKを決めてミランが早々に先制した。再び右サイドで先発した本田は19分、中央からスルーパスをエル・シャーラウィに通して2点目を演出。本田は36分に途中交代したが、このままミランが逃げ切って2連勝して同大会の優勝を飾った。
試合後のロッソネロの背番号「10」には、称賛の声が集まった。フィリッポ・インザーギ監督は「本田は素晴らしかった」と称えると、ガッリアーニCEOもそれにこう続いた。
「MVPにふさわしい過ぎるほどのプレーだった。本田は、今夜の最優秀選手だった。それは、今夜に起きたことで一番喜ばしいことだった。とてもいいプレーをしている。彼にはとてもとても満足している。少し前に電話でベルルスコーニ会長とも話していたが、彼も同じことを言っていた。私は彼の実力には、確信を抱いていた。昨シーズンはあんな感じだったが、ザッケローニ監督はいつも褒めていた。以前そうだったように重要な選手に戻ってくれる。人生には少し我慢が必要なんだ」
この日の活躍で、本田は大会MVPを受賞した。ACミランのオーナーであるベルルスコーニ元首相も絶賛し、獲得に尽力したガッリアーニCEOもそれに胸をなで下ろしたはずだ。何よりも、本田自身が安堵しただろう。ミランは、日本時間の9月1日、ホームでラツィオと開幕戦を戦う。背番号「10」は、開幕スタメンを引き寄せる強烈なアピールに成功した。
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サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web