五輪延期、日本代表は森保監督交代の転機 さらに増した“兼任”のデメリットとリスク

解任ではなく契約満了、A代表監督を交代するタイミングとしても悪くない

 どのような日程になるにせよ、日本にとって最大のネックになるのが森保監督のA代表と五輪代表の兼任だ。もともと兼任に対する批判や懸念は上がっていたが、森保監督の資質や体力を語る以前に、そもそも無理が生じてくる。二次予選の残りの日程が後ろ倒しになったこともあり、本大会までは五輪の活動に専念することを表明したが、五輪が1年延長することで、来年予定されるW杯アジア最終予選に向けてA代表の強化がより重要性を増してくる。

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 そして選手と同じく、A代表の活動期間と東京五輪のスケジュールが被る場合の問題が出てくる。そもそも森保監督が兼任監督になったのはA代表と五輪世代のラージファミリーを作ることで、オーバーエイジ問題を解決し、さらに五輪を経験した選手たちから1人でも多く、A代表のメンバーとしてアジア最終予選、さらにはカタールW杯で活躍するという青写真があったからだ。

 今回の延期決定を受けて、東京五輪より前に最終予選がスタートすることが確実になり、五輪を優先したA代表の活動ができない状況において、兼任監督はデメリットとリスクが大きく、継続することがほとんど意味をなさない。すでに4連勝している二次予選は敗退のリスクが小さいこともあり、A代表の監督を交代するタイミングとしては悪くない。もともと森保監督の就任から2年後に見直す条項があり、交代の場合も解任ではなく”契約満了”となるはず。

 もちろん、その場合も森保監督は東京五輪での金メダルを目指し、U-23チームを本番まで率いることになる。反町康治技術委員長が誰をリストアップするのかという新たな関心事が出てくるが、それはまた別の機会に譲りたい。

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(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)



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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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