「もっとうまくなりたい」 リオ世代のゲームメーカー大島僚太が誓う爆発的な成長

僕らには次がない

 さらに、大島自身の気持ちを駆り立てたのが、最終予選のレギュレーションである。

 北京五輪、ロンドン五輪と過去2大会の最終予選は3グループに分かれ、各グループでホーム&アウェー方式によって争われてきた。

 だが、今回は方式が変更され、セントラル開催のトーナメント戦によって行われた。それはまさに、大島や同世代の選手たちが涙をのんだU-19アジア選手権と同じ方式なのだ。

「前回の最終予選の時、負けた後で『次は絶対に勝ちたいと思います』って言っているのを見たんですけど、僕らには次がない。準々決勝や3位決定戦で負けたら、それで終わり。そんなシビアな戦いだからこそ、突破したらより達成感があると思うんですよね。こういう大会方式になったのも何かの縁だと思うので、その縁をしっかり結果に結び付けたいと思います」

 一見おっとりしているように見えて、内に熱いものを秘めた青年は、ミッションを成し遂げた時、果たしてどうなってしまうのか。

「普段、あまり満足することがないんですけど、今回に関しては、すごく満足すると思いますね。相当うれしいんじゃないかな。そんなエンディングをイメージしつつ、でも、ハイになりすぎず、冷静に、熱く」

 これまで苦汁をなめさせられてきたイラクや韓国を破ってオリンピックへの切符をつかみ取った時、それが自身にとってのターニングポイント――〝ボンって大きくなるようなきっかけ〞になるのではないか――。

 そんな予感が大島にはある。

[PROFILE]

大島僚太(おおしま・りょうた)

1993年1月23日、静岡県生まれ。静岡学園高から11年に川崎フロンターレに加入したプレーメーカー。正確なトラップとパスでボールを動かす風間サッカーの申し子的存在で、チームの攻撃を組み立てる。U-23日本代表では遠藤航と共に年長者としてチームを引っ張る。

〈サッカーマガジンZONE 2016年2月号より一部加筆修正をして転載〉

【了】

飯尾篤史●文 text by Atsushi Iio

荒川祐史●写真 photo by Yuji Arakawa

 

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