ブンデス1部昇格へ、遠藤航の本音 シュツットガルトが上位対決で露呈した脆さ
1部昇格へ、細部を突き詰めていけるか
ボールを落ち着かせるのか、素早く攻めるのか。そのあたりの意思疎通が乱れてしまっていた。マタラッツォ監督の狙いは間違っていない。ただ、それがピッチ上の選手にスムーズに伝わりきらなかったところを相手につかれてしまった。
「やっぱり2点目を取るのが理想。1点取った時間帯が早かったので、もう1点畳みかけて取りたかったのが本音かなと」
遠藤がそう振り返るように、良い時間帯に2点目が取れていたら、試合はまた異なる展開になっていただろう。あのスローインからの失点がなければリズムを取り戻し、攻勢に持ち込むこともできたかもしれない。サッカーの試合は、細部で差が生まれることもある。そのあたりで違いを生み出し、相手との駆け引きに勝ち、結果に結びつけられるかどうか。
ビーレフェルトが首位を走っているのには理由があるし、シュツットガルトがここから無事昇格を果たし、来季1部で戦っていくためには、細部をさらに突き詰めていく必要があるのだろう。もちろん、まずは新型コロナウイルスの猛威が沈静化し、残りの試合がきちんと消化されればの話だが……。
(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)
中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。