“平常心”を貫きリオ五輪出場を決めた遠藤航 元日本代表主将から授かった言葉とは?

リオ世代の一番の課題は…

 最終予選の約1カ月の戦いで、遠藤が鍵になると考えているのは勝負どころの見極めだ。

「連戦なので、全てのプレーを100%でやると、どこかでボロが出る可能性がある。5試合目の準決勝に勝てば、文句なくリオに行けるので、そこでチームとして一番まとまっているのがいい。ゲームを読んで、試合状況を考えられるか。そこは大事ですよ」

 一つ、好ましくないデータがある。遠藤が出場した二度のU-20W杯アジア予選で、日本は一度も逆転勝利を収められなかったのだ。

「そこが、この世代の一番の課題」

 遠藤は、即答した。

「自分もそうなんですけど、うまくいかずに失点した時に立て直すのが難しい。リードされた時にどうすべきか、今から考えています。戦術うんぬんよりも、気落ちしている選手が何人かいると思うので、いかに勇気づけられるか。例えば失点直後に後ろが崩れたらいけないので、まずはタク(岩波拓也)たちに声を掛けて、後ろを安定させるのが大事だと思う。逆に前の選手の守備が甘くて失点したら、前に厳しく言うことも必要。逆境をはね返すメンタリティーが重要だと思います」

 最終予選に臨む上で、遠藤は宮本氏からの高い要求に、刺激を受けていた。

「ツネさんの言う通りで、A代表に入った時にチームを引っ張るプレーが欠けていたと思う。それでは普段大事にしているものを、自ら捨ててしまっているようなもの。そこを突いてくるのはさすがですね(笑)。いかなる状況でも周りに指示して、自分のキャプテンシーを出せるような選手になっていきたいです」

「リオに行くという目標を実現するために、今まで自分が努力してきたことを信じている」

 積み上げてきた日々が鎧となり、ブレない平常心が鋼の刃となる。しっかりとやるべきことをやってきたからこそ、大一番での迷いはいちるもなかった。

[PROFILE]

遠藤航(えんどう・わたる)

1993年2月9日、神奈川県生まれ。湘南ベルマーレユースから2011年トップ昇格。16年シーズンに浦和レッズへ移籍。体が強く、攻守に質の高いプレーを見せる守備のオールラウンドプレーヤー。15年8月東アジアカップの北朝鮮戦でA代表デビュー。U-23日本代表ではキャプテンを務め、ボランチとしてチームを仕切っている。

〈サッカーマガジンZONE 2016年2月号より一部加筆修正をして転載〉

【了】

木崎伸也●文 text by Shinya Kizaki

山本雷太●写真 photo by Raita Yamamoto

 

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