“平常心”を貫きリオ五輪出場を決めた遠藤航 元日本代表主将から授かった言葉とは?
元日本代表キャプテンからの言葉
今回、最終予選を前にインタビューする上で、一つ遠藤へのサプライズを用意していた。編集部から元日本代表キャプテン宮本恒靖氏のメッセージを預かっていたのだ。その音声ファイルを流すと、遠藤は身を乗り出してレコーダーに顔を近づけた。
《すでにキャプテンとしていろいろ経験があると思うので、その経験を生かしてもらえればいいと思います。あとは予選に臨むにあたって、一体感をもたらすためにどこでチームに刺激を与えるか。そのタイミングを見極めてもらいたいと思います。
チームの空気を感じれば〝今やるべき〞というタイミングを見つけられるだろうし、もう少し先だと思ったら延ばせばいい。みんなの心に響くようなミーティングになれば、チームはいいものになっていく。一方、そこを間違えると難しくなる。
あとはピッチ上で、もっと存在感を出したらいいと思う。A代表でもぐいぐい周りを引っ張れるはず。戦術眼の高さで的確な指示を出して、A代表でもチームをけん引してほしい。期待しています》
メッセージを聞き終えると、遠藤の表情には笑みがこみ上げていた。
「うれしいですね。こうやってアドバイスをもらえるのは光栄ですし、やっぱりキャプテンをやってきた人なんで、よく分かっている。例えばチームを一番いい状態に持っていくためのタイミングとか。どんな時にミーティングをするのか、逆にリラックスを促すのか、自分の中でも考えていました。ツネさんの言葉を参考にしたい。自分のキャプテン像や思いと重なる部分があったので、背中を押してもらえた。自信を持って(リオ五輪アジア)最終予選に臨めます」
これまで遠藤は、U-22代表(現U-23代表)でミーティングをやってこなかった。
「U-19代表では、選手だけで試合を見て意見を出し合うといったことを何度かやったんですけど、U-22代表では正直、ミーティングをやった方がいいと思うタイミングがなくて。でも、最終予選で1カ月一緒にいたら、やるべきタイミングがあるかもしれない。別に全員で集まらなくてもいいと思うんですよ。前の選手だけ、もしくは後ろの選手だけ、とか。とにかく常にコミュニケーションを取るのが重要だと思います」
短期決戦では先発組とサブ組が明確に分かれ、サブ組には不満がたまるかもしれない。だが、遠藤はその心配をしていなかった。
「今のところそういう選手はこのチームにはいないので。手倉森監督もチーム全員の力が必要だと常々言っている。途中交代で出た選手が活躍できるかで、チームの結果が左右されると。手倉森監督はサブで不満を持つような選手を呼ばないと思う。それにみんな基本的には、自分をコミュニケーションの受け皿にしてくれている。言いたいことがあれば、自分に話し掛けてくれる選手が多い。その辺はキャプテンとして把握できていると思います」