“平常心”を貫きリオ五輪出場を決めた遠藤航 元日本代表主将から授かった言葉とは?
リオデジャネイロ五輪アジア最終予選を戦うチームでキャプテンを務める遠藤航(浦和レッズ)。リオ五輪への切符を手にする上で、その堂々として落ち着いた佇まいは、決して欠かすことができなかった。
最終予選を前に遠藤が語っていた静かなる決意には、リオへの熱い思いとキャプテンとしての誇りが満ちあふれていた――。
ずっとキャプテンをやってきたからこそ
遠藤航にとって、「平常心」は欠かせない武器の一つだ。
例えば、昨年11月の日本代表、ワールドカップ(W杯)アジア2次予選の東南アジア遠征では、バス移動の都合で練習前後に体のケアをする時間が限られていた。そこで遠藤は部屋のバスタブにお湯をため、練習前に体を温めるようにしていた。
「入りすぎないように気を付けながら、練習前にお風呂に入っていました。代表に行くと環境が変わるじゃないですか。でもその中でいかにいつも通りに試合や練習に臨めるか。平常心をすごく大事にしています」
そんな「いつも通り」の一つに、フィジカルトレーニングがある。将来欧州でプレーするために、「体をデカくする」ことに取り組んでいるのだ。
「国内レベルだと、フィジカルが強いと言われているかもしれない。だけど、これから海外に出ていきたいという思いがある。海外の選手と比べるとまだまだ。(2015年)シーズン中、週1回筋トレの日をつくっていた。代表に行ったら器具はないので、代わりに体幹(トレーニング)をやる。次の試合への準備をしながら、いかに長期的に体をデカくするか。そのバランスがポイントでした」
取り組みの結果、もはやJリーグではぶつかり合いでほとんど負けなくなった。相手の足下からボールが離れれば、ぐいっと体をねじ込んで奪ってしまう。だからこそバヒド・ハリルホジッチ日本代表監督の目に留まったのだ。
もちろん体を鍛えるのは、海外移籍のためだけではない。キャプテンとしてU-23日本代表を引っ張り、リオ五輪への出場権を勝ち取るためだ。
「僕はもともとキャプテンをやりたいタイプなんですよ。小学校、中学校、ユース、年代別代表で、ずっとキャプテンをやってきたから。試合でキャプテンマークを巻いて入場することが、自分にとってすごくモチベーションになる。それに、背負うものがあると成長できるじゃないですか。予選の重圧に勝つことができれば、自分としても、チームとしても、もう一段階上に成長できると信じています」