はざまの世代を咲かせた手倉森流の人心掌握術 リオ行きのスパイスは揺るがぬ哲学と信念

対話路線でローテ策成功「独りよがりにさせない」

 食事会場、練習後、そして、決勝トーナメントでは「決勝への扉が開いている」とゲンを担ぎ、監督室の扉を開放していた。対話の機会を自ら多く作った。この世代の多くの選手は、20代前半の時期に所属チームで出場機会を得られずに、期限付き移籍などを繰り返してきた。U-19代表時代には、U-20ワールドカップへの出場権も逃した。アジアではベスト8が壁になってきた。それでも「ポテンシャルが低いグループではない。逆にアンダーカテゴリーで悔しい思いをしたからこそ、伸び代があると信じた」と強い信念とともに指導してきた。そして、それが男子日本サッカーの6大会連続五輪出場という大輪の花となり、実を結んだ。

 出場権獲得すら難しいのではないかという下馬評だった手倉森Jは5連勝でリオへの切符をもぎ取った。3年間、愛情と信念を注ぎ込んだ指揮官の喜びと安堵もひとしおだっただろう。

【了】

サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

page1 page2 page3

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング