久保建英、“右足弾”を導いた洞察力 スペイン人記者も感嘆「マジョルカで最も素晴らしいゲーム」

エイバルの本拠地「エスタディオ・ムニシパル・デ・イプルーア」【写真:高橋智行】
エイバルの本拠地「エスタディオ・ムニシパル・デ・イプルーア」【写真:高橋智行】

左足を警戒されるなか「右足を使えることを分からせるのが大事」

 リーガ3点目を記録した久保は試合後、「その前のドリブルで失敗し、少し落ち込んでいた部分もあったが、ポソ選手が中に切れ込んできてくれた。スピードのある選手なので中で待っていればパスをくれると思った。その後は左を切られていると思ったので、中に切り返し、あとは蹴ったら入った」と冷静に振り返った。

 2節前のベティス戦に続き、利き足とは逆の右足でシュートを決めたことについては「ノーフェイクで簡単に左足というにはもう(シュートコースを)切られると思うので、右足を使えることを(相手に)分からせるのが大事だと思う」と力強く語っていた。またエイバル戦では久保の守備面での貢献も光ったが、その理由について「週の半ばに監督から守備面を改善する必要があると言われ、守備面を改善できる映像を見せてもらった。そのことを頭に入れていたし、今日は上手くやることができたと思う」と明かしていた。

 マジョルカは特に後半、エイバルの強い圧力を受けたものの、5バックのシステムが上手く機能した。後半アディショナルタイムに1点を返されたが、久保の2得点に絡む活躍により2-1で勝利し、今季13試合目にしてアウェー初勝利を成し遂げた。通算成績は7勝4分16敗で勝ち点を25に伸ばし、順位は降格圏内の18位のままだが、17位セルタとの勝ち点差を「1」に縮めている。

 久保は残留争いの直接対決を制したことについて、「次のバルセロナ戦は非常に難しい試合になると思うが、その前に勝ち点3を拾い、弾みをつけられたことは優位に働くと思う。直接対決だったし、エイバルを下に落とすではないが、自分たちがのし上がるためには誰かを落とさなければいけない。今日はそういった意味でも、非常に意味のある勝ち点3だったと思っている」と感想を述べた。

 さらにエイバル戦がマジョルカでの自己ベストゲームかについて問われると、久保は「今の時点ではベストかどうかを言うことはできないが、結果、そして守備に貢献できたので、ベストゲームの一つと言うことができる」と、この日のパフォーマンスに納得した様子だった。

 試合翌日の現地紙は試合を決めた久保のパフォーマンスを高く評価。スペイン紙「AS」は、この日ピッチに立ったマジョルカとエイバルの全26選手の中で、久保に唯一の最高点(最高3点)をつけ、「クオリティーの高さを示し、マジョルカの2点目を決めた。並外れて素晴らしいタレントだ」と絶賛した。

 スペイン紙「マルカ」は、久保をチームトップタイの2点(最高3点)と評価。その他ではポソ、DFマルティン・ヴァリエント、アグベニェヌ、ダニ・ロドリゲス、FWクチョ・エルナンデスの5選手が同じ評価だった。

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高橋智行

たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。

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