久保建英、“右足弾”を導いた洞察力 スペイン人記者も感嘆「マジョルカで最も素晴らしいゲーム」
【スペイン発コラム】エイバル戦で殊勲の決勝ゴール、チームを今季アウェー初勝利に導く
スペイン1部マジョルカは7日のリーガ・エスパニョーラ第27節で、シーズン開幕から12試合を戦うも2分10敗といまだ一度も勝利していない苦手のアウェーで、エイバルと戦った。
ホームでの前節ヘタフェ戦に0-1で敗れたマジョルカは、6勝4分16敗の勝ち点22で降格圏内の18位に低迷。対するエイバルは、前節ホームでレバンテ相手に3-0の大勝を飾り、7勝6分12敗の勝ち点27で16位だった(※レアル・ソシエダ戦が大気汚染により3月10日に延期されているため消化試合が1試合少ない)。
エイバル戦のキックオフ時間は現地13時。日本では土曜日21時からと非常に見やすい時間に設定され、日本代表MF久保建英(マジョルカ)とMF乾貴士(エイバル)の今季初となるスペイン1部リーグでの“日本人対決”が注目され、駐スペイン日本国特命全権大使も観戦に訪れていた。しかしエイバルのホセ・ルイス・メンディリバル監督は、前々節でバルセロナに0-5の惨敗を喫した翌週にレバンテ相手に結果を出したため、ほとんどメンバーを入れ替えず。そのため乾は2試合連続で招集外となり、“日本人対決”は実現しなかった。
マジョルカのビセンテ・モレノ監督は、エイバル戦に予想外のシステムで臨んだ。4-4-2から5-3-2に変更し、出場停止のMFサルバ・セビージャに代えて、DFアレクサンダル・セドラルをCBの一角に起用。またフィジカル面に問題があり、ヘタフェ戦を欠場した9ゴールでチーム得点王のFWアンテ・ブディミルがスタメン復帰した。久保は3試合連続のスタメン出場を飾り、中盤右サイドでの先発となった。
キックオフ前から雨が続き、やや悪天候の中で試合はスタート。久保は前半、激しいチェックを受けて簡単にはプレーさせてもらえなかったが、前半32分に右サイドを突破してDFルーマー・アグベニェヌのシュートチャンスを作ると、同41分には敵陣での久保の仕掛けから相手のファウルを誘発。そのFKをMFダニ・ロドリゲスが直接決め、マジョルカが先制した。
後半はエイバルが前に出てきたことで、久保もチームとともに守備に追われる時間が長かった。しかし自陣から勇猛果敢にドリブルを仕掛けた直後の後半33分、右サイドで巧みなボールカットを見せて駆け上がったMFアレハンドロ・ポソのパスをペナルティーエリア正面で受けると、相手DF2人と対峙しながら素早くシュートコースを見つけて右足を振り抜き、左ポストに当てながら決勝点を記録した。久保はその後、同37分にこの日がマジョルカデビューとなった元韓国代表MFキ・ソンヨンと交代している。
高橋智行
たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。