「監督の作戦」を選手が変更し“撤退” レアルがクラシコで見せた決断力と日本代表の課題
日本代表が苦手な試合中の対応力、監督を尊重しすぎてしまう?
もしかしたら、そんなことは当たり前なのかもしれない。なぜなら、選手だけでなく監督を含めて、誰にも正解など分からないからだ。ジダン監督の策も後半については正解だったが、前半は不正解だった。どうせ誰も正解など分からないなら、監督の作戦が間違っていたと思えば選手が違うアイデアで変えればいいだけ。何も恐れる必要はない。ダメでもともとである。
ところが、なかなかそれができない。特に日本代表は苦手だ。
2019年アジアカップ決勝で、カタールに対して日本のハイプレスは全くはまらなかった。バルサ戦前半のレアルと同じ状況である。しかし、日本は当初の方針を変えず2失点してしまっている。ハイプレスを強行するならマッチアップを噛み合わせなければならなかったし、そうでなければレアルのように一時撤退を決断しなければならなかったが、どちらもなかった。
置かれている状況を把握できていないのか、監督を尊重しすぎてしまうのか、単に責任を負いたくないのか……。いずれにしても状況が悪い時に柔軟に対処することが苦手である。例にあげたカタール戦だけでなく、このケースは繰り返されてきたので、日本代表の取り組むべき課題だろう。
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(西部謙司 / Kenji Nishibe)
西部謙司
にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。