リオ五輪世代の特別な存在へ “10番”中島翔哉の飽くなきゴールへの欲求
もう一度、ゴールを決める
現在、チームと中島は、カタールの地で最終予選を戦っている。最大の山場と見られていた準々決勝のイラン戦では、中島の2ゴールを含む3-0で勝利した。本大会出場に王手をかけたが、まだ何も手にしたわけではない。
「(バヒド・)ハリルホジッチ監督に『ポテンシャルはあるけれどもっと練習しないといけない』と言われましたが、攻撃も守備の連係の部分も、もっと高めていかないといけない。自分たちは決して強いチームじゃないので、みんなで協力し、その中で自分がいい意味で違いをつくり出していくことが、勝つためには重要かなと思っています」
――五輪出場権獲得に必要なものは?
「まず、サッカーを楽しむこと。厳しい戦いになるからこそ、いつも通りにサッカーを楽しむことが大事だと思います。それにはどれだけ成長していけるか。僕はギリギリまで成長していくことが可能だと思う。それができれば、五輪出場権を獲得できると思います」
――自信は?
「僕自身は、アジアでの戦いが苦しいと思ったことがない。相手に押されたとしても、チームを楽にするために僕が点を取ります」
中島は力強く、そう宣言した。
落ち着きのあるたたずまいは、自信の表れと言ってもよい。そして、話を終えるといつものように練習に向かった。果たしてチーム内でずば抜けた存在となり、最終予選突破を果たすゴールを決められるだろうか。その先には、華やかなリオの舞台が待っている。
[PROFILE]
中島翔哉(なかじま・しょうや)
1994年8月23日、東京都生まれ。東京ヴェルディジュニアからジュニアユース、ユースを経て、2012年シーズン中にトップ昇格。14年、FC東京に完全移籍、カターレ富山に期限付き移籍。同年夏にFC東京に復帰、U-23日本代表の攻撃の中心として最終予選突破を目指す。
〈サッカーマガジンZONE 2016年2月号より一部加筆修正をして転載〉
【了】
佐藤 俊●文 text by Shun Sato
安川啓太●写真 photo by Keita Yasukawa