ボタフォゴ本田圭佑が戦う「リオ州選手権」とは? 現地在住の日本人FW、過酷な“環境の差”証言
【東城利哉が語るブラジルサッカー|前編】リオの強豪4クラブにとって「調整のための試合という側面もある」
元日本代表MF本田圭佑が移籍したブラジルのボタフォゴは、リオデジャネイロに本拠地を置き、現在リオデジャネイロ州選手権(1部/以下リオ州選手権)の真っ最中だ。そして5月からはブラジル全国選手権(1部)を戦うが、この2つのリーグではいったいどのような戦いが繰り広げられているのか。18歳だった2012年から現在までブラジルでプレーし、両リーグを知るフリブルゲンセ(リオ州選手権2部)のFW東城利哉に解説してもらった。まずは前編で、リオ州選手権について聞いていく。
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南緯22度に位置するブラジル第2の都市リオデジャネイロは、リオ州選手権1部が開幕する年明けは真夏にあたる。同大会は強い太陽の日差しを受け、時に午後3時キックオフという過酷な環境の中で行われる。
東城はフリブルゲンセがリオ州選手権1部にいた14年に、同大会で10試合に出場した。ブラジル人の誰もが憧れるマラカナンのピッチにも立ち、ボタフォゴをはじめ、フラメンゴ、フルミネンセといった強豪とも対戦した。そんな彼が、同州選手権で最大の特徴だと断言するのは、ピッチコンディションに応じて、試合ごとにサッカーのスタイルを変えることだという。
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――まずはリーグのシステムについて教えて下さい。
「リオ州選手権1部は1月から4月にかけて行われます。12チームを2つの組に分けて、前期、後期で戦う。前期、後期それぞれで各組の上位2チーム、計4チームが決勝トーナメントに進出し、前期、後期それぞれの王者を決めます。その王者同士の勝者が、その年の州チャンピオンとなります。今、ちょうど前期が終わったところで、今週(現地時間2月28日)から後期が始まりました。ボタフォゴは前期3勝3敗でグループリーグ3位に終わり、決勝トーナメントには進出できませんでした。前期はフラメンゴが優勝しています」
――どんなチームがリーグに所属していますか?
「リーグに所属しているなかで強豪と言われているのがサポーターの多い順で、フラメンゴ、ヴァスコ・ダ・ガマ、フルミネンセ、ボタフォゴの4チームです。中でもフラメンゴはブラジル中にファンがいる全国区のチームです。リオの銀行がスポンサーで、放映権料も他の3チームに比べて多くもらっています。4強の他の3チームは、フラメンゴと比べると資金力は少し落ちますし、給料の未払いも時々あります。それでも、欧州リーグ経験者もたくさんいます。
フラメンゴは、欧州の強豪チームでプレーしていた選手が多い。それ以外の3チームは、強豪ではないけど欧州のチームでプレーしていた選手がいます。本田選手が加入したボタフォゴは、昔からのオールドファンが多い印象がありますね。
これらの4チームはリオ州選手権の後、5月に開幕する全国選手権が控えているので、リオ州選手権は全国選手権に向けたアップのようなもの。調整のための試合という側面もあり、大会の後半から本気を出す感じです。フラメンゴは昨年、南米ナンバーワンを決めるコパ・リベルタドーレスにも出場していたので、序盤はユースの選手を使っていました。
今年はフラメンゴがコパ・リベルタドーレス、ヴァスコ・ダ・ガマとフルミネンセがコパ・スダメリカーナに出場します。その合間を縫って、日本の天皇杯にあたるコパ・ド・ブラジルもある。各州の選手権が終わった後もブラジル全国選手権と並行してこれらの大会も続くので、勝ち上がっていったチームにとっては非常に長丁場な1年になります」