柏レイソル、“J1昇格即優勝”の再現なるか 4発快勝の復帰戦に潜んだ危うさと名将の知略

GKキム・スンギュの好守が光った札幌戦では相手の反撃を2失点にとどめた【写真:小林 靖】
GKキム・スンギュの好守が光った札幌戦では相手の反撃を2失点にとどめた【写真:小林 靖】

手綱を締めるネルシーニョ監督 「J1ではシンプルなミスが命取りになる」

 確かに昨年J2時代の柏は、自由を与えれば最終節の京都サンガF.C.戦(13-1)のような大爆発もあった。しかし、それでもほとんど対策を練っていたとは思えない札幌との試合は、昨年のライバルとの対戦より思う存分長所を発揮できたのかもしれない。もちろんJリーグを知り尽くすネルシーニョ監督も、「シーズンを戦っていくうえでも重要な一戦になった」と評価しながらも、「J1とJ2では明白な差がある。J1ではシンプルなミスが命取りになるほどレベルが高い」と手綱を締める。

 好スタートは切れたが、これから対戦するチームが、これほどオルンガに無策で臨んでくるとは思えない。またGKキム・スンギュの好セーブと幸運に救われた守備も、今後は本格的に試されることになるはずだ。

「厳しい戦いになるが、それでも大きい目標を持って前進していこうと思う」

 ベテラン監督は9年前と同様に、密に上位進出を目論む様子だが、おそらく楽観的な展望を固めるにはもう少し時間が必要だ。

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加部 究

かべ・きわむ/1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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