「夢を2人でもう一度…」 元日本代表GK小島伸幸、54歳でJクラブコーチ初挑戦の理由
【J番記者コラム】古巣J2群馬のGKコーチに就任 “人気解説者”の運命を変えた盟友からの一本の電話
1998年のフランス・ワールドカップ(W杯)日本代表GK小島伸幸が、指導者としてJリーグへ戻ってきた。
現役時代は「ヒゲのGK」として知られ、フランスW杯では第3GKとして川口能活、楢﨑正剛をサポート。Jリーグではベルマーレ平塚(現・湘南ベルマーレ)、アビスパ福岡で活躍したのち、2002年からは当時群馬県1部リーグだったザスパ草津(現・ザスパクサツ群馬)でプレー。そしてJ2昇格を果たした2005年を最後に、表舞台から去っていた。
現役引退後は日本大を指導しながら解説者として活動していたが、今季古巣の群馬からのオファーを受けてGKコーチに就任。15年ぶりにJリーグの世界へ復帰することになった。
彼を知る者にとっては、驚きだ。GKグローブを置いた後は、大学生の指導に情熱を注ぐ傍ら、解説者として“引っ張りだこ”だったため、プロ指導者の道へ進むことはないだろうと思われていたからだ。Jクラブ全体を見れば30、40代のGKコーチが目立つなかで、54歳の小島はベテランの域に達している。
運命を変えたのは、昨年末の一本の電話だった。電話の主は、2002、03年にザスパ草津でともにプレーした盟友・奥野僚右だ。今季から群馬で指揮を執ることが決まった奥野は、小島にGKコーチ就任を打診したという。
「冗談かと思った」
小島はこう振り返る。
しかし、奥野は本気だった。盟友のチャレンジに心を揺さぶられた元日本代表GKは、オリンピックイヤーを迎えるなかで解説の仕事をすべてキャンセル。大学の指導も整理し、馳せ参ずることを決めた。引退から15年、54歳での初挑戦となった。