“脆い”ドルトムントが見事に変貌 PSG戦勝利の立役者を主将称賛「素晴らしい補強だ」
【ドイツ発コラム】CLラウンド16でPSGに2-1先勝、フンメルスも守備に手応え
今季のドルトムントは、はまった時の攻撃力こそ素晴らしいが、はまらない時の脆さも相当なものがある。
8日に行われたブンデスリーガ第21節レバークーゼン戦(3-4)は最たる例だ。華麗なコンビネーションから3得点を挙げながら、守備時のバランスが崩壊し、スペースをいいように使われての4失点逆転負け。どうすれば安定したパフォーマンスを発揮することができるのか。18日のUEFAチャンピオンズリーグ(CL)ラウンド16第1戦で対決するパリ・サンジェルマン(PSG)にはブラジル代表FWネイマール、フランス代表FWキリアン・ムバッペ、アルゼンチン代表MFアンヘル・ディ・マリアという強烈なアタッカー陣が揃う。こんな不安定な守備で抑えられるのかという心配が、ファンにはあった。
だが、そんな不安を吹き飛ばす素晴らしいパフォーマンスをドルトムントは見せてくれた。
90分を通して非常に組織だった守備でPSGの攻撃を防いでいく。マークの受け渡し、守備ゾーンでのプレスのかけ方はとても機能していた。ネイマール、ムバッペ、ディ・マリアが良い形でボールを持てない。失点シーンこそ、ムバッペの強烈な個人技の素晴らしさもあり、完全に崩されてしまった。だがそれ以外は、決定的なチャンスを与えることなく、ゲームをコントロールした。
ベルギー代表MFアクセル・ヴィツェルは、試合後のミックスゾーンで「僕らはいいオーガナイズでアグレッシブにプレーできたよ。パリには強烈な攻撃陣がいる。ネイマール、ムバッペ、ディ・マリア。彼らにスペースを与えてしまうと怖い。チーム全員でファイトしようとしていたし、それができたと思う」と満足気に振り返っていた。
守備の要である元ドイツ代表DFマッツ・フンメルスは、「今日のチームパフォーマンスにはとても満足できると思うよ。素晴らしい試合になった。失点シーン以外、相手の攻撃を自分たちのゴールから遠ざけることができた。オーガナイズがしっかりしていて、気持ちが入ったプレーが見られて、90分通して高い集中力を保ち続けることができた。間違いなく順当な勝利だったと思う」と、自分たちのプレーに手応えを感じていたようだ。
中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。