PK“9人連続失敗”の珍事をメンタル面から分析 連鎖反応が起きやすい心理状態とは?
「浮かさないように」とイメージするとボールは浮く?
まず大儀見氏は、「『シュートを外さないように』とイメージするほど、逆に外しやすくなります」と指摘する。テレビ中継では、解説者の北澤豪氏が「みんな浮いてるんで、絶対浮かないようにと思って入ってるとは思うんですけどね」とコメントしていた。
「北澤さんが言ったとおり、選手たちも『浮かさないように』と考えていたと思います。実は、こういった打ち消しの思考は良くないんです。例えば『絶対にピンクのゾウのことを思い浮かべないでください』と言われたらどうでしょうか。頭の中にはもう、いますよね(笑)。
人間の脳内は“無意識”が強いので、“意識”では『外さない(=入れる)』と考えていても、“無意識”で『外す』の単語や映像のほうに引っ張られます。失敗が続いた流れでは、そのようなメンタルになりやすいですね」
ゴルフのタイガー・ウッズは、ラウンド終盤の重要な局面でも、相手のパットを「入れ!」と念じながら見るという。大儀見氏によると、たとえ相手のパットでも「入れ!」と考えることで肯定的なイメージが無意識に作られ、自分に有利に働くそうだ。
また、今回のPK戦で特徴的だったのは、ゴールの上に外す選手の多さである。クロスバーに当てた選手も含め、実に5人もの選手がボールをゴールより高く浮かせた。
「『外せ』と思いながらハーフラインの列で待っていて、相手が外したら『よっしゃ』と。それと同時に『また上に外したな』と無意識に捉えて、上に浮かして外すイメージがさらに強化されていったのではないかと」