愛される宮市亮、“悔しさ露わ”の先にある充実感 「怪我の時は感じられなかった」
「試合に出続けているからこそ、こういう問題も出てくる」
「そういうのも、怪我をしている時は感じられなかったことでもあって、試合に出続けているからこそ、こういう問題も出てくるのかなと。ポジティブに考えれば、そういうところもあります」
試合に出られる喜び。試合で悔しがれる感触。そして、次に向かって戦っていける実感――。それがあるから、宮市の表情は充実している。もちろん、試合に出ているだけで満足しているわけではない。
「やっぱり結果を出していかないといけないですし、監督からやっぱり信頼して使ってもらっているんで、なんとか勝たしてあげたい気持ちはあるんです。チャンスを待ち続けていたら最後(アディショナルタイムでのチャンスのような)ああいうところがくるので。準備はしていたんですけど。あと1、2センチのところだと思う。また日々やっていきたいと思います」
日本語での対応を終えた後、ドイツ人記者の質問にドイツ語で答え、テレビのインタビューでは英語で受け答えをする。スタッフと笑顔でやり取りをし、コーチやチームメートはそんな宮市の肩を優しくトントンと叩いていく。
愛されているのだな、と改めて感じ入った。選手として、そして人間として、これまでの経験すべてが間違いなく血肉となっている。そして今日の結果も力に変えていくことだろう。宮市のこれからが、ますます楽しみだ。
(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)
中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。