「どれほど価値ある選手か…」 遠藤航をシュツットガルト幹部が称賛「人間的に素晴らしい」
ミスリンタットSD「ワタルは静かなリーダーと言える」
「全然ポジティブというか。監督からも、『センターバックできるのか?』というのはキャンプの時に言われて。『ずっとやってたし、問題ない』と話していたし、オプションとして持ってもらえればいいと思う。今の監督は後ろを3枚にしたり、4枚にしたり、中盤をアンカー気味にしたり、ダブルボランチにしたりと、いろいろ工夫をしてやっていく戦術を持っているので。僕だけじゃなくて、いろんな選手がいろんなポジションをやることが多いんですけど、それはそれでみんなポジティブにやっているし、今は上手くはまっているというか、みんながみんな自分のやるべきことを理解しながら、ポジションが変わりながらも問題はないと思います」
後半開始からは4バックの左センターバック、後半12分からは選手交代の流れからダブルボランチの1枚としてプレーしていた。1試合で3つのポジションをこなし、試合中の変更にもすぐにスッと次の役割に入っていける。当の本人は「別にそこは問題ないです。ずっといろんなポジションをやっているので」と涼しい顔で答えるが、誰にでもできることではない。
「僕はありがたいことに、いろんな監督からいろんなポジションで使ってもらっている経験がある。ある意味、今の監督がいろんなポジションで僕のことを使ってくれることによって、僕のプレーの幅も広がるし。そんなに長くやっていないポジションで急にやっているわけではないので、そういう意味では別にやりにくさはないです」
そんな遠藤に対して、チームは非常に高い評価をしている。ミスリンタットはプレーヤーとしてだけではなく、人間としての素晴らしさについても言及していた。
「静かで整理されている人間だけど、言うべき時にははっきりとした意見を持っている。英語とジェスチャーでしっかりと伝えるんだ。静かなリーダーと言えるかな。安定感はチームにとって大きな問題だったけど、ワタルはチームに安定をもたらしてくれている。カップ戦後で今日は少し疲れていたはずなのに、今日もいいプレーを見せてくれた。チームの形を構築していくうえで助けになってくれている」
中心人物としての自覚は、遠藤の中にも生まれてきているようだ。1試合に勝っても満足することはなく、視線はあくまでもブンデスリーガ1部昇格を見据えている。
中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。