Jリーグが掲げる「小さなチェンジで、大きなチャレンジ」 今季の“判定基準”を読み解く
変えるのは判断基準ではなく、審判員が持つ“幅”
一方で、出席したメディアからはプレーを見極める際、審判によって判断基準にバラつきが出ることに対する不安が投げかけられた。この質問に対して、プロフェッショナルレフェリー(PR)の佐藤隆治氏はやんわりと否定。国際主審としても活躍する佐藤氏は、先日行われたU-23アジア選手権でも審判を務めた際のことを例に出し、こう語っている。
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「例えばそれぞれの大会で何か基準が違うかと言えば、正直僕は何も変えていないです。もちろん、選手同士のリアクションとか、その試合においての若干の“幅”っていうものは、誰しもあると思います。1本の線で『こうやってやります』とはいかないと思うので。ある程度一定の“幅”というのがあって、その“幅”の中で自分は国内でも海外でも笛を吹いています」
プレーの見極めの際に生まれる差のことを、佐藤氏は“幅”という言葉で表した。その“幅”には個人差もあれば、リーグによる差異もある。佐藤氏が言うには、それぞれを大きく変えるわけではなく、ほんの少し“幅”の位置を変えていくという解釈になる。小さな変化とはいえ、Jリーグ全体を通して徹底するのは、かなり難しい。扇谷氏の言葉を借りれば、「小さなチェンジで、大きなチャレンジ」だ。
この変化は審判だけでは成り立たない。選手、監督やコーチ、そして観客やメディア。Jリーグに関わる全員が理解を深めることが理想だが、まずはプレーする選手たちが、Jリーグの目指すところを理解していく必要があるだろう。今シーズンのJリーグは、審判の判断、それに伴う選手のプレーの変化に注目したい。
(FOOTBALL ZONE編集部・金子拳也 / Kenya Kaneko)