乱入者に“大外刈り”、同僚の頭にキック直撃 ブラジル1部で大混乱…軍警察介入の事態

ブラジル1部リーグで"珍事"が発生(写真はイメージ)【写真:Getty Images】
ブラジル1部リーグで"珍事"が発生(写真はイメージ)【写真:Getty Images】

アヴァイーMFシウバの挑発行為を発端に、フィゲイレンセのファンが暴走

 サッカーの公式戦では時折、観客によるピッチへの乱入が発生するが、多くの場合は選手と接触する前に沈静化が図られる。しかし今回、ブラジル1部で乱入した観客が選手と揉み合いになる事態が発生。選手が柔道技を決めて取り押さえる前代未聞の発展となっている。

 事件が発生したのは、サンタカタリーナ州選手権でのフィゲイレンセ対アヴァイーの一戦。試合はアウェーのアヴァイーが2-0で勝利を収めているが、問題となっているのは後半38分、すでに2点差が付いた状態での出来事だ。フィゲイレンセのファンがフェンスを突破してピッチレベルに降り立ち、アヴァイーのベンチ前に侵入。直前に挑発行為を働いたとして、アヴァイーMFブルーノ・シウバからの謝罪を求めたという。

 この行為にいち早く反応したのがアヴァイーのベンチに座っていたGKグレジソンだった。乱入者を両手で制すると、組み合った状態から“大外刈り”を繰り出し、無力化に成功した。ここに激昂したシウバも駆けつけ、なんと乱入者に対してキックを入れようとしたものの、上に覆いかぶさって取り押さえていたグレジソンの頭に直撃。混沌としたワンシーンとなった。

 ブラジルメディア「グローボ・エスポルチ」は「フィゲイレンセのサポーターが挑発行為のブルーノ・シウバを攻撃するためにピッチ侵入、アヴァイーの選手は味方にキック」と見出しを打ち、衝撃のシーンを詳報。発端はシウバが交代でピッチから退く際に「2-0」というジェスチャーをフィゲイレンセのファンに向けて行ったことで、シウバ自身は「挑発行為はしていない。フィゲイレンセをリスペクトしているし、勝利を祝っただけだ」とコメントしているという。また、最終的には軍警察が介入するまでの事態に発展したことも伝えられている。

 試合後にはフィゲイレンセが公式声明を発表。スタンドで発生していた破壊行為の犯人特定に全力を挙げること、そのために各機関との協力を惜しまないことを表明するとともに、シウバの振る舞いについては「非スポーツマン的であり、無力化されて危険のない状態の観客に対して攻撃した。侵入者の行為は決して正当化されないが、守られていないファンに対する卑怯な攻撃は許されるものではない」と痛烈に非難している。

 シウバの行為をきっかけにフィゲイレンセのファン同士でも暴力行為が発生し、スタンドでは複数の椅子が破壊され、観客席とピッチを隔てる透明なフェンスも破損。試合は中断し、後半のアディショナルタイムは21分にも及んだ。チーム関係者に人的被害がなかったことは、不幸中の幸いと言えるのかもしれない。

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