香川真司、レアル戦の躍動をスペイン記者絶賛 「サラゴサの質を大いに高めている」
中盤で高いキープ力を発揮、ホームの観衆から拍手も起こる
試合は現地時間21時と遅い時間のキックオフだったが、気温12度とスペインでも寒い地域であるサラゴサの冬にしてはそこまで低くはなかった。試合前には大きなモザイクが作られ、今シーズン初となる満員の熱狂的な雰囲気のなかで試合がスタート。しかしサラゴサは開始早々の前半6分、ショートコーナーからヴァランにいきなりゴールを許し、苦しい立ち上がりとなった。
そうしたなか、香川はいつも通り4-2-3-1のトップ下でプレーし、中盤で高いキープ力を発揮して観衆から拍手を受け、ボールを上手くつないで攻撃の中心となり、試合を通じてレアルにとって最も危険な存在となった。
前半23分にはあと一歩でゴールという切れ味鋭い左足のシュートを放つと、同30分には右サイドのハーフウェーライン付近をFWアンドレ・ペレイラとの壁パスで抜け出してペナルティーエリアまでボールを運ぶと、最後はヴァランにブロックされたものの再び左足で惜しいシュートを放った。
サラゴサはその後、前半32分にレアルMFルーカス・バスケスに追加点を決められ0-2でハーフタイムへ。2点を追うなかでフェルナンデス監督は、後半13分にFWルイス・スアレスとFWアレックス・ブランコと、攻撃の主軸を同時投入した。
攻撃のパートナーを得た香川は、前半以上に生き生きとしたプレーを披露する。ボールを積極的に動かし、後半18分には左足でシュートを打つと、同26分にはペナルティーエリア内でスアレスに決定的なパスを出した。
さらに同33分、レアルの最終ラインと中盤の間でパスを受けた香川は、CBのヴァランとDFナチョ・フェルナンデスの間を通す見事なスルーパスを送る。スアレスのシュートはGKアルフォンス・アレオラの右足によって阻止されたが、サラゴサにとってこれ以上ないチャンスを香川が演出したのである。
さらに香川は同37分、ヴァランからボールをカットし右サイドにパスを叩くも、ブランコのシュートは上手くいかず、同39分には個人技から右足でのシュートに持ち込んだ。香川は好プレーを連発したものの、サラゴサは最終的にレアルに0-4と完敗し、国王杯敗退が決定した。
高橋智行
たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。