ドイツで指導する日本人コーチの「Jリーグ失点分析」 “GK視点”で見たブンデスとの差とは?
選手自身で判断し実行できるようにならなければ、技術も“宝の持ち腐れ”になる
また、ゴールディフェンスから1対1に持ち込める局面でもゴール前で構えている場面が非常に多かったです。時には勇気を持ってゴールから飛び出し、1対1で防ぐことも必要です。そのためには味方がどこにいて、相手がどこに向かってドリブルしているのか、ボールと相手の距離はどの程度なのかなどしっかりと周囲の状況を理解することが必要になってきます。
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ゴールディフェンス、スペースディフェンス、1対1のポジショニング、この3つの切り替えからの戦術的ポジション修正、判断が甘いシーンが目立ちました。これらを改善するためには育成段階からGKコーチがしっかりと計画を立て、効率良く選手に習得させていくことや、戦術を理解したうえでどの局面を想定したリアリティーのあるトレーニングを重ねることで重要になります。
ただし、指導者はすべてのテクニックや戦術的ポジショニングを習得させればいいわけではないと肝に銘じておく必要があります。どんな状況でも選手自身で判断し、実行できるようにならなければ技術も宝の持ち腐れになってしまうので、型にはめるのではなく、選手の個性を尊重し、個を育成することが重要になっていくはずです。
<PROFILE>
松岡裕三郎(まつおか・ゆうさぶろう)
1984年10月8日生まれ。鹿児島の名門・鹿児島実業高で全国高校サッカー選手権大会に2度出場。夏のインターハイでは大会優秀GKにも選ばれた。同志社大に進学し、卒業後に単身ドイツへ。独7部フェルバッハで選手としてプレーした後、指導者に転身。2017年6月にUEFA B級GKライセンスを取得。シュツットガルト・キッカーズのU-15、16のGKコーチを経て、現在はドイツ2部VfBシュツットガルトのU-14、15でGKコーチを務めている。
(石川 遼 / Ryo Ishikawa)