ドイツで指導する日本人コーチの「Jリーグ失点分析」 “GK視点”で見たブンデスとの差とは?
ブンデスリーガの失点分析(2018-19シーズン)
それでは次に、ブンデスリーガ失点分析を見ていきます。こちらは2018-19シーズンのデータを使用。分析方法は同様ですが、こちらはシュツットガルトU-19チームのコーチによる分析を使用しています。
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Jリーグと同じ計34試合での総失点数(ゴール数)は「973ゴール」でした。Jリーグと同様に、ブンデスリーガの多かった失点場面の上位4つ、GK視点の失点分類、GKの失点要因上位4つを以下に示します。
【1/失点シーン(上位4パターン)】
■PA内のシュート:243ゴール(24.97%)
■センターリング、クロスからのシュート:173ゴール(17.78%)
■マイナスボールからの失点:134ゴール(13.77%)
■GKと1対1からの失点:125ゴール(12.85%)
【2/GK視点の失点分類】
■GKが失点に関与しない、防げない失点:476ゴール(48.92%)
■GKが防ぐことができる、改善できる失点:423ゴール(43.47%)
■GKのミスによる失点:74ゴール(7.61%)
【3/GKの失点要因(上位4パターン)】
■GKテクニック:197ゴール(39.64%)
■ポジショニング:168ゴール(33.80%)
■判断:163ゴール(32.80%)
■ぶれない、先に倒れない:76ゴール(15.29%)
Jリーグとブンデスリーガの分析結果を比較してみると、まず総失点数は同じ18チームでもブンデスリーガのほうが圧倒的に多いことは一目瞭然です。多かった失点シーンの上位4つは同じですが、ブンデスリーガの方がマイナスボール、GKとの1対1からの失点の割合が高いです。これはブンデスリーガのほうが、より攻撃側がペナルティーエリア内で個の勝負や突破を仕掛けていることを示しています。
総失点のうち「GKが失点に関与しない、防げない失点」はブンデスリーガのほうがJリーグよりも約8%高かったのですが、ブンデスリーガでは世界有数のハイレベルなGKたちでさえも、防げないシュートが多いことを示唆しています。
そして「GKが防ぐことができる、改善できる失点」、そして「ミスによる失点」を合わせると、Jリーグは全体の約59%なのに対し、ブンデスリーガでは約51%でした。これはブンデスリーガに比べ、Jリーグでは正しい技術を持っていれば防げていたはずの失点が多かったと見ることができます。