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スアレスを失ったロジャースが下した決断 リバプールは再び旋風を起こせるのか
ロジャースは、スアレスの穴をあえて埋めない方針を打ち出した。今オフのリバプールの補強は、サウサンプトンのFWリッキー・ランバートを皮切りに、 同クラブのMFアダム・ララーナ、DFデヤン・ロブレン、レヴァークーゼンからMFエムレ・カン、さらにベンフィカのFWラザル・マルコビッチなど、各ポジションに即戦力を補うことに成功した。しかし、ロジャースは肝心の「スアレスの後釜」の獲得に動こうとはしなかった。現在、うわさになっているドルトムントのMFマルコ・ロイスや、レアル・マドリードのMFイスコは指折りのワールドクラスではあるが、いずれも中盤の選手。ストライカーの名前は新聞紙面には取り挙げられていない。パリサンジェルマンのFWエディン・カバーニが売りに出されているのにもかかわらず、獲得に手も挙げていないのだ。
その意図は、プレシーズン中のリバプールに垣間見ることができた。準優勝したギネス・インターナショナル・チャンピオンズカップ(ギネス杯)初戦で、スアレス在籍時の2トップシステムではなく、4-2-1-3のシステムで臨んだ。気になる前線の顔ぶれは最前線にスターリッジ、右にスターリング、左にマルコビッチ、トップ下にエムレ・カンという布陣だ。1-0で勝利したこの試合のインタビューでロジャースは、「この3トップは私を興奮させてくれる」と称賛の言葉を贈っている。
このシステムは、組織としても非常に機能していた。ロジャースはスアレスなき今だからこそ、このシステムができると判断したのだろう。スアレスのためのシステムではなく、自らが理想としているサッカーを追求するためのシステムに変更している最中なのである。
懸念はランバート 好材料はマルコビッチ
ギネス杯2試合目のマンチェスター・シティー戦。ロジャースは昨季のシステム、4-3-1-2をこの宿敵に送り込んだ。2トップはスターリッジ、ランバートにトップ下はコウチーニョの布陣。試合は2-2で90分では決着がつかず、PK戦でリバプールが勝利した。今季も優勝争いに参戦するメッセージを相手にたたきつけることができたかたちだ。
しかし、この試合では、ランバートが苦しんだ。スターリッジとの連係がぎこちなく、コウチーニョのパスにもうまく反応できていなかった。リバプールがマンチェスター・C相手に優位に試合を動かし始めたのは、ランバートに代えてスターリングが投入されてからだった。3トップシステムが主流であっても、スターリッジは故障しがちで90分間を戦い抜くスタミナもない。ベンチスタートであっても、ランバートの出番は決して少なくなく、重要なポジションにいることに間違いはない。そのランバートのコンディションが向上しない限り、昨季のような勝ち切るリバプールを拝むことは難しいかもしれない。
それに対し、期待以上のパフォーマンスを示したのがマルコビッチと、コアテスである。マルコビッチはオリンピアコス戦に出場し、強靭なボディーバランス、圧巻のスピード、ボールが足に吸い付くようなドリブルを随所に発揮した。一気に開幕スタメンの最有力候補に名乗りを上げている。彼のポテンシャルには数年前、ボルシアMGからドルトムントに移籍してワールドクラスに駆け上がったマルコ・ロイスに、プレースタイル含め通ずるものを感じる。