森保監督の致命的な“判断ミス” 英記者が日本惨敗の要因を指摘「面白みも活気もなく…」
3戦未勝利でU-23アジア選手権を去った日本 指揮官の「競争より教育の願望こそが命取りに…」
U-23日本代表は現地時間15日、タイで行われたU-23アジア選手権のグループリーグ第3戦でカタールと対戦し、1-1と引き分けた。MF田中碧(川崎フロンターレ)の一発退場により数的不利となったなかで、後半27分にFW小川航基(ジュビロ磐田)が先制点を奪うも、最終的にはPKで同点に追いつかれ1-1のドロー。3戦未勝利で大会を去ることになった。
史上初のグループリーグ敗退を喫した日本の惨状は、現地取材した海外記者の目にどのように映ったのだろうか。かつてアジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ(W杯)を6大会連続で取材した英国人記者マイケル・チャーチ氏が、早期敗退に直結した森保一監督の“判断ミス”を指摘している。
◇ ◇ ◇
日本が未勝利で早期敗退を喫することを予想した者は、ほとんどいなかっただろう。しかもタイでの短い滞在期間のなかで、結果だけでなく内容の部分で多くの課題を露呈すると予想した者は、もっと少なかったはずだ。
U-23アジア選手権での日本は、重要な場面での動き出しがほとんどなく、攻撃の質は不足していて、スマートさも欠落していた。それらがすべて合わさった結果こそ、3試合でわずか勝ち点1と、東京への帰国便の予約を早めることだった。実際のところ、日本は3試合を通して、これ以上タイに滞在するのにふさわしい存在ではなかった。
森保監督は自ら挙手して責任を負い、メンバーの選出と準備段階でミスを犯したことを認めているものの、自分自身のやり方をいまだに信じているように見える。指揮官は、このチームで戦った選手たちが学び、そして前進することを確信しているようだ。彼の最大の後悔は、もう3試合をプレーする機会を与えられなかったことだろう。選手たちに、より多くのレッスンから学んでほしいというのが、今大会での彼の望みだったからだ。
しかし森保監督の「競争よりも教育を施したい」という願望こそが、命取りとなったのだ。初戦でサウジアラビアに敗戦(1-2)を喫した後、シリア戦(1-2)ではプランを再検討し、彼の思考に柔軟性があることを示すべきだった。現状を維持して大会に参加し続ける必要性があったため、ローテーションを行ってできるだけ多くの選手にプレー時間を与えるプランに固執すべきではなかった。黒星スタートの日本には勝ち点3が求められていたため、「勝つための最強のチーム」をピッチに送り出すべきだった。6人も先発メンバーを変更した挙句、初戦で得たチームのリズムをわざわざ断ち切るべきではなかったのだ。
マイケル・チャーチ
アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。