森保監督、惨敗に終わった大会の“マネジメント力”に迫る ピッチ内外の舞台裏とは
A代表と同じ「自主性」を求めるが…
もともと森保監督は「自主性」を重んじて多くを指示しない。A代表では自主性に期待して成功した例もある。2018年のロシア・ワールドカップ(W杯)前、オーストリアで開催された事前合宿を終えて、決戦の地・ロシアへ入った後、選手だけでのミーティングを実施。キャプテンのMF長谷部誠(フランクフルト)が西野朗監督に自分たちから攻守において仕掛ける方針を申し入れた。西野監督から承諾され、チームは16強入り。強豪ベルギーをあと1歩のところまで追い詰めた。
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だが、A代表では国際Aマッチを100試合以上経験している選手もW杯を2度、3度経験している選手もいる。一方の東京五輪世代は海外組が増えたため、毎回メンバーが大きく変わる。日本サッカー協会の関塚隆技術委員長が「この世代でこれだけ海外クラブにマーケットを持って行った日本の選手が出てきたのは嬉しいことでもありますし、想定外であったことも事実」と言うほどで、堂安や久保だけでなく、中山、DF冨安健洋(ボローニャ)、DF板倉滉(フローニンゲン)、MF三好康児(アントワープ)ら多くの選手が活躍する。
ジャマイカ戦で選手は変わろうとしたが、今大会は中山の不在もあり、長崎遠征を経験したメンバーは5人だけ。ある程度指揮官が“指標”を示すことは必要だった。
ピッチ外だけではない。今大会第1戦のサウジアラビア戦(0-2)では、試合終盤にバックパスのミスから失点。1-1の試合終盤、3バックの左を務めるDF古賀太陽(柏レイソル)がバックパス。中央のDF岡崎慎(清水エスパルス)に向けて出したパスは大きくずれた。GK大迫敬介(サンフレッチェ広島)も判断できない状況で相手にかっさらわれ、ペナルティーエリア内で岡崎が相手を倒してしまいPKを献上。これを決められて、勝ち越しを許した。この試合後、岡崎は「本当に各々バラバラだったのが一番良くなかった」と振り返った。
「相手が意外とギアが上がっていたので、3バック3枚で回していて結構リスキーだった。あのミスは仕方がないとは思わないけど、ボランチの田中選手(碧か駿汰の)どちらかを下げて4枚で回したほうが良かったのか。それとも3枚でリスクもかけつつ、相手をはがしたら全員のFWを置き去りにできているくらいの守備をやるのか。チームとしてそこが少しまばらになった」