サッカーの母国に与えた衝撃　「壮大なFKの手順で相手を幻惑」

　第94回全国高校サッカー選手権は11日に決勝戦が行われ、東福岡高校（福岡）は國學院久我山高校（東京A）を5-0で下した。17年ぶりの選手権優勝と夏のインターハイと合わせた高校二冠を達成したが、勝負を決める2点目を生んだ東福岡の前代未聞のトリックプレーは、サッカーの母国でも大きな話題になっている。

　鮮やかなトリックプレーは米スポーツ専門テレビ局「ESPN」でも特集されているが、イングランドにも衝撃を与えた。フットボール専門サイト「101グレート・ゴールズ」は、「日本の高校チームが壮大なFKの手順で相手を幻惑する」と特集。「これはあまりに良いものだ。東福岡高校おめでとう」という賛辞からスタートしている。

　世界が絶賛するトリックプレーは、東福岡が1-0とリードして迎えた後半2分に生まれた。ゴール正面やや右サイド約20メートルの距離で直接FKのチャンスを得た東福岡は、キッカーのポジションにMF中村健人が立った。白のユニフォームの國學院久我山が作った壁の前には、赤いユニフォーム姿の選手3人が立った。さらに、ボールのポイントの前には赤いユニフォームの3選手が肩を組んで立ち、歩幅を合わせて下がっていく。4歩目を踏んだ瞬間に合計6人の東福岡の選手は一気にしゃがみこみ、中村が蹴ったボールがその頭上を越えていった。視界を遮られた久我山GKと壁役は反応が遅れ、ボールはそのままゴール左隅に吸い込まれた。

　寸評では「日本中のチームは歴史深い高校選手権のために毎年集結する。そして、この日のファンは天才的なFKのルーティンを享受することになった。東福岡の選手は素晴らしい連携を見せ、本当にすごいセットプレーの流れを実現させた」と絶賛している。