青森山田、逆転負けに「徹底できなかった」と指揮官悔恨 「それも含めて力のなさ」
静岡学園との決勝は2点リード後に3失点 「精神的に守勢に回ってしまった」と黒田監督
第98回全国高校サッカー選手権は13日に決勝戦が行われ、連覇を目指した青森山田(青森)は静岡学園(静岡)に敗れた。2-0とリードしたところから3点を奪われての逆転負けに、黒田剛監督は「徹底できなかった、という言葉がつきまとう」と敗因に言及している。
前半の立ち上がりから、ボールを持たれる時間が長くなるのは想定したうえで守備の機能性は高かった。組織的にボール奪って素早く攻撃につなげる形が生まれ、前半11分にはセットプレーから先制。同33分にはMF武田英寿が自ら獲得したPKを決めた。しかし、前半アディショナルタイムの失点はゲームの流れを大きく変えてしまった。
相手のセットプレーの流れで当たり切らなかった相手のシュートがゴール正面に飛んだ時、クリアしきれずにトラップしようとしたボールがこぼれて蹴り込まれた。そして後半に入ると、カウンターの起点を潰されて守備にギャップが生まれ始めたところで流れの中から失点し、残り5分ではセットプレーからファーサイドでのヘディングを許した。
黒田監督はそうした一連の流れについて、次のように振り返っている。
「良い守備から2点が取れたが、そこから精神的に守勢に回ってしまったかもしれない。(1失点目は)ワンタッチで弾いておけばいいところでコントロールミス。3点目はニアに人を置いて、中央からファーはGKがカバーするというトレーニングしてきた形で、それができなかった。やるべきところで、やるべきことをするのがサッカーの原則ですから、それも含めて力のなさ。徹底できなかった、という言葉がつきまとうと思います」
前回大会、青森山田は3年生が主体のチームで優勝した。そうしたなかで出場していたのは主将のMF武田英寿のみだったため、黒田監督は「何かと比べられながら、力のなさを自覚しながら成長したチームだと思う。ここまで伸びる、人間は変われるのだと見せてもらった。重いプレッシャーと戦ってきた彼らは、もしかしたら力以上を出してきた1年かもしれない。おめでとうという言葉と、一つの悔しさを次につなげて欲しい」と、この世代のチームをねぎらった。
今大会では、2回戦と3回戦は守備を固めてロングボール、準々決勝以降は攻撃的にボールを保持してくる相手との対戦だった。何でもできるような育成を掲げたチームは、どちらにもハイレベルで対応したからこそここまで来た。そのなかで最後に優勝をもぎ取った静岡学園に対し、指揮官は「優勝したかったですが、かなり鍛えられたテクニカルなチームでした。彼らの優勝におめでとうと言いたいです」と称えている。
逆に静岡学園の川口修監督は、高円宮杯プレミアリーグを制した青森山田を「絶対王者」と称していた。両監督も力を認め合った同士のチームが見せた熱戦の勝敗を分けたのは、ほんの少し、紙一重のものだった。
(FOOTBALL ZONE編集部)