矢板中央の“想定内”と“誤算” 無念の4強敗退も指揮官が称賛「感動し、驚き、誇らしく…」

矢板中央キャプテン長江皓亮【写真:Noriko NAGANO】
矢板中央キャプテン長江皓亮【写真:Noriko NAGANO】

「赤い壁」が最後の最後に涙、矢板中央が終了間際に失点で4強敗退も「成長できた」

 ゴール前で体を張り続けた「赤い壁」は、最後の最後で涙を呑んだ。第98回全国高校サッカー選手権は11日に準決勝が行われ、矢板中央(栃木)は静岡学園(静岡)の猛攻に耐えながら、後半アディショナルタイムのPKにより0-1で敗れた。

 前半から攻め込まれ続けながら、23本のシュートを守り切ってきた矢板中央だったが、勝負を分けた24本目が決勝のPKだった。主将を務めたDF長江皓亮は「監督にも“赤い壁”になれと言われてきて。自分たちでもゴール前では体を張っていこうと話してきたんです」と話す。しかしJ1鹿島内定のドリブラー、MF松村優太の突破に対してMF靍見拳士朗が寄せて体を張ったそのプレーは、無念のPK判定だった。ラストプレーとなったこの1本を決められ、無念の敗退になった。

 大会規定により、同点で後半を終えればPK戦だった。シュート2本と攻撃の糸口がつかめないながら、そこに持ち込めばどうなるか分からない。長江は「PKにできるかなというのがありましたけど、もしかしたらそう思ったこと自体が隙だったのかもしれない」と悔やんだ。

準決勝終了時点でのトーナメント表【画像:Football ZONE web】
準決勝終了時点でのトーナメント表【画像:Football ZONE web】

 それでも、高橋健二監督は、そもそもこの全国の舞台にまで勝ち残ったこと自体が大きな成果だったと語る。というのも、昨年に8強で優勝校の青森山田(青森)に敗れたチームを「メンバーに力があって、日本一を狙えると思っていた」と話した一方で、今年のメンバーについては「ちょっと難しいと。今年は全国に出るのも厳しいと思っていた」という感覚を持っていたからだった。

 キャプテンの長江にとっても、そうした評判は嬉しくはないものだったが「声をしっかり出して、みんなでサッカーをやっていこうと、ここまで来ました。負けた試合の後にも選手だけでミーティングもして、試合を終えるたびに成長できたと思います。みんなでやっていかないと、という1年だったと思います」と、まとまりのある集団になっていったことが、ギリギリの勝負で残ってきた要因なのだろう。

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