連覇王手の青森山田を支える“黒幕” 横浜FC内定ボランチの際立つ観察眼と影響力
準決勝で帝京長岡に2-1勝利、全ゴールを演出した青森山田MF古宿の強烈な存在感
連覇に王手をかけた青森山田(青森)の中盤には、戦術眼の高さを見せるボランチが存在している。第98回全国高校サッカー選手権は11日に準決勝を行い、青森山田は2-1で帝京長岡(新潟)に勝利。その二つのゴールを演出したのが、J1横浜FC内定のMF古宿理久だった。
前半16分の先制ゴールではボールキープをした古宿がDF内田陽介にスルーパスを通し、そこからのクロスが決まった。そこでも「少し体を外に向けることで相手の意識をそっちに持っていって、内側にパスを通すという自分の良さが出せたと思います」と振り返る。一つタメて相手サイドバックの内側を攻略し、チャンスの質が高まった。そして、後半2分にはカウンターの局面で自陣から右サイドまで一気に駆け上がって、松木のゴールにつながるクロスも供給している。
そうしたゴールに直結するプレーも見せた古宿だったが、試合への影響力という点では違う面もまた際立ったと言える。
青森山田は、黒田剛監督が「ポゼッションや堅守速攻といった一つのことに特化するのではなくて、何でもできるようにやっていくのが育成のスタイル」と話し、チーム全体としてのオールラウンダーを目指している。逆に言えば、相手の出方や試合状況といった変化していくものを正確に把握できなければ、その時の最善手を取ることはできない。この世代のチームにおいて、それが古宿の役割だった。
この試合では特に前半、ボランチのコンビを組んだ1年生MF松木玖生がボールホルダーに寄せた瞬間、そのギャップを突くようにパスを通されて苦しむ立ち上がりになった。その状況を感じた古宿は「ちょっと前から行き過ぎてしまっていて、間を空けてしまったところがまずいと感じました。なので、前の2人が寄せるタイミングを遅らせるようにして、ボランチのパスコースを切るように話しました」と、修正の手を打った。