「選手権がこれほど…」 浅野弟が実感した“拓磨の偉業”、「兄超え」へ挑む新たな一歩
無得点で選手権を終えた四日市中央工FW浅野快斗「3年目でようやくこの場所に来られた」
第98回全国高校サッカー選手権は5日に準々決勝4試合が行われ、四日市中央工(三重)は矢板中央(栃木)に0-2で敗れ、6大会ぶりのベスト4進出を逃した。四日市中央工のFW浅野快斗(3年)は途中出場したものの、最後までゴールネットを揺らすことができず、無得点で大会を去ることになった。
「完全にベタ引きされてしまったので、裏を取るサッカーは効果的にならなかった。2点のビハインドで、相手にリトリートさせる下地を作らせてしまった」
試合後、浅野はそう振り返った。この試合、兄の日本代表FW浅野拓磨(パルチザン)が現地観戦に訪れていたが、家族の見守る前で結果を残すことはできなかった。
「兄が選手権で活躍する姿を見て、選手権を目指して四中工に入って、3年目でようやくこの場所に来ることができた。でも、実際にやってみて、選手権で点を取ることがこれほど大変だとは思わなかった」
兄・拓磨は選手権に3年連続で出場し、レギュラーを勝ち取った2年生では初戦から決勝まですべての試合でゴールを挙げる快挙を達成し、得点王に輝いていた。弟・快斗は兄の残した偉業を、本大会で身をもって実感した。
卒業後はドイツへのサッカー留学を検討しており、現地でトライアウトに参加するという。「兄が生活面をサポートしてくれることになった。相当お金はかかると思うけれど…」と、拓磨からの資金面のバックアップを受け、海外挑戦する意向を明らかにした。
2回戦の松本国際戦(2-1)の試合後にも、「プロサッカー選手が自分の夢。やはり兄の存在が大きいし、追い越したい」と、“兄超え”を目標に据えていた。選手権では厳しい現実を突きつけられることになったが、浅野快斗はここから新たな挑戦の一歩を踏み出すことになる。
(FOOTBALL ZONE編集部・城福達也 / Tatsuya Jofuku)