敗軍の将はクラブから立ち去る ミランとローマの一戦は“監督解任ダービー”に
進退を懸けた一戦と、現地メディアが報じる
イタリア・セリエAではウインターブレークが終了し、5日と6日に各地でリーグ戦が再開した。そして、今週末にすぐさまゲームが行われる過密日程となるが、9日に組まれた日本代表FW本田圭佑所属のACミランとローマの一戦は“監督解任ダービー”になると多くの現地メディアで報じられている。
まずは、ミランの状況からだが、12月20日の2015年最終戦となったフロジノーネ戦こそ勝利したものの、それ以前の2試合で昇格組のカルピと最下位のヴェローナに引き分けて勝利を逃している。さらに、年が明けた6日には、昇格組のボローニャに0-1で敗れた。本来であれば多くの勝ち点を積み上げるべき4試合で1勝2分1敗の勝ち点5にとどまった。特に本拠地でのボローニャ戦の敗戦はシルビオ・ベルルスコーニ会長の逆鱗(げきりん)に触れ、9日のローマ戦次第ではシニシャ・ミハイロビッチ監督が解任される見通しだと盛んに伝えられている。
苦しい状況にあるのはローマも同様だ。今季ルディ・ガルシア監督に率いられたチームは、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)でグループステージを突破したが、12月以降のリーグ戦では1勝のみ。首位インテルから勝ち点6差の5位と、ジリジリと首位争いから引き離されつつある。CLで過去最多失点による決勝トーナメント進出クラブという不名誉な記録を残したように、守備面に対しての不安が大きく報じられている。
双方の本拠地であるミラノとローマは、イタリア国内でも大都市同士であり、ライバル関係にある。古代ローマ時代からの歴史的な建造物を有する首都ローマと、最先端のファッションの発信地として近代的な都市ミラノの代理戦争でもあり、注目度の高い一戦である。それと同時に、サポーターからの重圧も大きなゲームとなる。
冬の移籍市場がすでに開幕し、新監督にチームの残りシーズンを任せるのであれば、補強のリクエストを含めて時間的な猶予も多くない。両監督にとって、大きなプレッシャーの掛かるゲームになりそうだ。
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サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images