「いつものお前なら…」 國學院久我山の2年生GK、殊勲のセーブを呼んだ先輩の言葉
2年生GK村上はPKストップ+PK成功でチームに勝利をもたらすヒーローに
國學院久我山(東京B)の2年生GK村上健は、2日に行われた第98回全国高校サッカー選手権の2回戦、0-0でもつれ込んだ専大北上(岩手)とのPK戦で相手シュートをストップしたうえに、最後のキッカーとして勝利をもたらすヒーローになった。
両チームが積極的に攻撃を繰り出す展開だった後半11分、國學院久我山は退場者を出して10人に。それでも攻撃的な姿勢を失わなかったが、ゴール前に攻め込まれる場面は増えた。それだけに、後半終了のホイッスルが鳴った瞬間、村上は「PKまで持ち込めた。フィールドプレーヤーがすごく頑張って走ってPKまでつないでくれたので、自分が決めなければいけない」という思いに駆られたという。
そして、PK戦の前には3年生GK石渡克から「とにかくリラックス。いつものお前なら、絶対に1本は止められる」と声をかけられた。その言葉の通り、村上は相手の3人目のキックを読み切って左に飛んでセーブ。しかし、國學院久我山は5人目が外してサドンデス方式へ。すると専大北上の7人目が枠外に失敗し、決めれば勝ちのキッカーには村上が立った。
「6人目が終わった時に、みんなから『次はお前が蹴れ』と言われたんです。本当は、一番最後だと思っていたのでびっくりしました。コースを考えすぎると力んでしまうので、無心でいきました」
その村上が左足で狙ったキックは「少しコースが甘くなった」と、相手GKに触られたものの、そのシュートには強さがあったことで手を弾いてゴール内へ。見事に、チームの勝利をもたらすヒーローの座を手にした。
開幕戦で前原(沖縄)に8-0の大勝を収めたが、この2回戦は大苦戦だった。それでも村上は「監督からも注目されていることは意識せず、全国優勝を狙うチャレンジャーなのを忘れるなと言われていました。全国の舞台なので、こういう苦戦もあると思っています」と、一喜一憂はしていない。
3日の3回戦では、浦和駒場スタジアムで地元の埼玉代表、昌平と対戦する。村上は「攻撃陣のドリブルが凄いし、同じ学年の須藤(直輝)は1人で打開できる選手ですけど、そこを抑えたい。僕が止める場面が多いのはチームとしてあまり良くないけど、少しでもチームに貢献したい」と、“アウェーゲーム”での勝利を見据えている。
(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)