「人生最高のゴール」と“データマン”の思惑 高校総体準Vの富山第一、劇的弾導いた要因
強風を予想して前半は風下を選択 GK中村「絶対に後半勝負と思っていました」
PK戦で相手の3人目を止めたGK中村純四郎は、この日の初戦に備え、面白い情報を入手していた。大晦日のさいたま市の天候を調査すると、小枝なら折れて、風に向かって歩くのが困難な7メートルの北風が午後から吹くという気象予報を得た。そこで試合前、主将のMF高木俊希にコイントスに勝ったら、前半は風下の陣地を取ってくれと要求した。
思惑通りとなった後半は、強風が吹き荒れる風上から敵陣に疾風迅雷の攻撃を仕掛けたのだ。
中村は「後半は風上からガンガン攻めて2点を取れた。あれだけ強い風が吹いていましたからね、絶対に後半勝負と思っていました」と、データマンはしてやったりの表情で勝利の余韻に浸っていた。
(河野 正 / Tadashi Kawano)
page1 page2
河野 正
1960年生まれ、埼玉県出身。埼玉新聞運動部で日本リーグの三菱時代から浦和レッズを担当。2007年にフリーランスとなり、主に埼玉県内のサッカーを中心に取材。主な著書に『浦和レッズ赤き激闘の記憶』(河出書房新社)『山田暢久火の玉ボーイ』(ベースボール・マガジン社)『浦和レッズ不滅の名語録』(朝日新聞出版)などがある。