リバプール南野、クロップ“第2世代”への挑戦 “完璧を求めない”名将も確信「ウチにフィットする」

「ミスを犯す人間」が同時に「完璧な瞬間も生む」ことを信じる

 “ビッグクラブ”であるリバプールの新加入選手に対する過度の期待を緩和し、重圧を取り除く。そうしておいてミスを恐れない強靭な精神力を埋め込む、クロップ流のマネジメント術――。

 なるほど、一度チェルシーで挫折したサラーがプレミアのゴール記録を塗り替え、ドイツでは平均点をやや上回る程度のウインガーだったフィルミーノが世界屈指の“偽9番”に変身したのもそうだし、サウサンプトン時代にはムラっ気も目立ったマネが90分間獰猛で意外性を発揮し続けるストライカーに変貌したのも、クロップがすぐに炎上する英国のフットボールメディアから選手にかかる重圧を取り除き、ミスを犯す人間が同時に完璧な瞬間も生むことを信じる指導者だったからに他ならない。

 今回の会見で、そのクロップが南野に長期的なプロジェクトを組んで主力に育てようとしていることが明らかになった。南野の数年先を見据えたドイツ人闘将本人が、2024年まで契約を延長したのも素晴らしいニュースである。香川真司(現サラゴサ)がマンチェスター・ユナイテッドで挫折を味わったのは、当時の日本人ナンバー10の凄まじいテクニックに惚れ込んだファーガソン監督が、わずか1シーズンで退任したことが大きかった。

 ならば、石の上にも3年。我々日本人は辛抱強いことで定評のある民族だ。もちろん、加入後すぐに南野がリバプールというビッグクラブで活躍する姿を見たいというはやる気持ちもある。しかしここは、獲得した選手をことごとく主力に成長させるドイツ人闘将を信じ、日本代表MFがクロップの“第2世代”のアタッカーになることを夢見て、今後を見守ることにしたい。

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(森 昌利 / Masatoshi Mori)



森 昌利

もり・まさとし/1962年生まれ、福岡県出身。84年からフリーランスのライターとして活動し93年に渡英。当地で英国人女性と結婚後、定住した。ロンドン市内の出版社勤務を経て、98年から再びフリーランスに。01年、FW西澤明訓のボルトン加入をきっかけに報知新聞の英国通信員となり、プレミアリーグの取材を本格的に開始。英国人の視点を意識しながら、“サッカーの母国”イングランドの現状や魅力を日本に伝えている。

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