「ちょっと比べられない」 19歳日本人MF、ドイツで挑む夢のブンデス出場と学業の両立
もどかしさを感じながら学業にも集中
学業は大丈夫だから練習をしたいと願うことはある。トップチームの練習は午前中に行われることが多い。学校があると、その練習には行けない。
行きたい。プロの選手と一緒に練習がしたい。そこでふっと自分を落ち着かせる。
「でも学校も大事ですから。今、学校を辞めてももったいないし。アビ(アビトゥーアの略語)をしっかり取って、選手キャリアの後に何か始めるためにはとても大事ですから。学校をしっかりと卒業するのも大事。しっかりと学校を終えて、そして晴れてフルでプロチームの練習に参加できるようになりたいです」
ぐっと我慢して、今、自分がやるべきことと向き合っている。長い人生を考えたら、もどかしさを感じながら頑張って過ごす、こうした毎日がきっと将来プラスになる。そして、そうしたなかで身につけた人としての成熟は、ピッチ上の自分にも必ずポジティブな作用をもたらしてくれるはずだ。
(第3回へ続く)
中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。