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選手権8強敗退も躍進の駒大高 「和製ゲーゲン・プレス」を支えた”トリプルスリーの法則”
駒大高の躍進を支えた”トリプルスリーの法則”
負けこそしたが、駒大高は東福岡を最後まで苦しめた。東福岡の森重潤也監督は試合後、開口一番に「手強かった」と発した。インターハイ王者を苦しめたのは、かつて日本代表MF香川真司を育て上げたリバプール率いるユルゲン・クロップ監督の戦術を彷彿させる「和製ゲーゲン・プレス」だ。
ゲーゲン・プレスとは、ボールを失った瞬間に前線から猛烈なプレッシャーを掛け、高い位置でボールを奪取した勢いそのままにカウンター攻撃に移行する戦術。運動量と規律が成功の鍵となる。名将クロップのトレードマークでもあるゲーゲン・プレスの体現は、駒大高の”トリプルスリーの法則”に裏打ちされている。ボールを奪われた際、「3秒」の間、「3m」追い回し、「3回」のプレスをかける。3つの「3」をキーワードとした”トリプルスリーの法則”が、駒大高の躍進を支えた。
「この3年間を振り返ったら、楽しいことよりも苦しいこと、辛いことの方がはるかに多かった。でも、だからこそ、歴代最高のベスト8の景色を見ることができた」
主将の深見は、駒沢競技場を去る間際にそう口にした。大野監督は今大会を通じて「今年はとにかく下手くそなチーム」と言い続けた。しかし、それと同時に「どの年代よりもとにかく走ってきた」と努力の素晴らしさを伝えてきた。MF竹上有祥は開幕戦の勝利後に「参加校のどこよりも走るチームであることを証明したい」と語っていた。駒大高はベスト8で姿を消すことになったが、圧倒的な練習量に裏付けられた”トリプルスリーの法則”による「和製ゲーゲン・プレス」は、選手権に強烈なインパクトを残し、大会を去ることになった。
【了】
城福達也●文 text by Tatsuya Jofuku
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