今季10度目の完封勝利で首位奪還 サガン鳥栖の強さの秘密
名古屋は最前線に永井、1.5列目に玉田を置き、左サイドのレアンドロ・ドミンゲスと共に、個の力で打開できる3人で攻撃を組み立て、残りの7人で守備に走る、ファン・ハールさながらの「オランダスタイル」なのに対し、サガン鳥栖は全選手が流動的にハードワークすることで、イタリアやウルグアイを撃破し旋風を巻き起こした「コスタリカスタイル」。結末こそ逆となったが、この2チームはW杯ブラジル大会準々決勝で激突した。互いに全く異なるサッカーを展開するチーム同士の対決である。
鳥栖の守備陣は前半立ち上がりから永井の爆発的なスピードに裏を取られる場面が多く、裏をカバーすることでできたスペースからドミンゲスにシュートを狙われるなど、相手ペースで試合が進むも、名古屋も肝心のゴールを決め切れない。
そのまま後半を迎えると、今度は一気に鳥栖のペースに。両サイドが果敢に攻め込み、ワイドにゲームを展開。中央の空いたスペースに中盤の選手が走り込みチャンスを創出する。すると後半38分、運動量豊富な池田が右からのアーリークロスに反応し、左足でワンタッチで合わせて先制点をマーク。その後も試合を支配した鳥栖が、勝者として試合終了のホイッスルを聞くこととなった。
前半優位に試合を進めながらも、後半は圧倒され敗戦を喫した名古屋。確かに前線の3人は攻撃において強力な組み合わせではある。
しかし、永井はアリエン・ロッベンではなく、玉田はファン・ペルシーではない。完全なる個の力で試合を打開できる決定力がなければ、時間が経過するにつれ、前線の3人が守備をしないことで残りの7人にかかる守備の負荷が、チームの負荷となり、全体の動きに影響し始めてしまう。後半足が止まってしまった名古屋は、最終的にはスコア以上の惨敗を喫してしまうこととなった。