久保建英、マジョルカ加入4カ月で変えた“序列”と観衆の視線 現地記者「主役の役割を…」
スペイン人記者はドリブル技術を称賛も課題指摘 「もう少し考え、成熟する必要がある」
久保のセビージャ戦でのパフォーマンスについて、スペイン紙「マルカ」、同「AS」ともにチームトップの2点(最高3点)をつけ、一定の評価を与えていた。「マルカ」紙ではフラン・ガメス、DFルーマー・アグベニェヌ、ラゴ・ジュニオール、「AS」紙ではDFマルティン・ヴァリエントだけが久保と並び2点をつけられていた。
モレノ監督はセビージャ戦後の記者会見で、「前節セルタ戦での悪いパフォーマンス、そして国王杯で出番がなかったなか、久保に何かアドバイスをしたか?」という質問を受けると、「全体的な評価について、久保は入団後からプレーのすべての面が改善されている。彼はとても若く、自分のレベルが下回る試合が今後もあるはずだ。しかし我々に多くのものを与えてくれているし、今日も彼の個人的なプレーでゴールを決めるところだった。知的な選手であり、人の話に耳を傾けることができ、学ぶ意欲がある」と答えていた。
スペインのラジオ局「ラジオ・マルカ」のルイス・フォルテサ記者は、この日の久保の出来について「今日はチーム同様、最高の出来ではなかった。なぜなら、対戦相手がとても良かったし強かったからね」とセビージャの強さを強調した。そのうえで久保のプレーについては、「焦りや不安混じりの切望が滲み出ている時があると思う。なぜなら、彼はその年齢にもかかわらず、主役の役割をより演じることを望んでいるように見えるからね。でも私たちは、彼が非常に若いことを覚えておく必要があるし、難しくないボールを失い、パスミスを犯す時があることを理解しておかなければいけない」と印象を語っていた。
そして「マジョルカには、彼のような素晴らしい選手をメンバーに加えられているという大きな運がある。今日は彼にとってのベストゲームではなかった。もう少し落ち着いてプレーしなければいけないだろうね。なぜなら、クボはスペクタクルなドリブルを備えているが、もう少し考え、成熟する必要がある。さっきも言ったけれど、彼はまだ18歳だからね。時間の経過とともに、そのような状況を改善する術を学んでいくと思う」と期待を寄せている。
2019年も最後に来て、久保は結束が固く難しいと思われたモレノ監督のチームのスタメンに、割って入ることに成功した。これは間違いなく、久保がマジョルカ加入からの約4カ月間で残してきた成果によるものである。
高橋智行
たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。