久保建英、マジョルカ加入4カ月で変えた“序列”と観衆の視線 現地記者「主役の役割を…」
判定に不満を募らせたマジョルカの選手、観衆も審判団に大ブーイング
その後はセビージャが、実力通りのプレーを見せ、前半20分にCKからDFジエゴ・カルロスのヘディングシュートで先制する。
マジョルカは同26分、久保の右サイドでのカットを起点にしたカウンターから、最後は左サイドでラゴ・ジュニオールが倒されるもPKの笛が吹かれず、同38分には久保がインターセプトからドリブルを仕掛け、ペナルティーエリア手前で足を引っかけられたかに見えたがファウルは取られなかった。さらに前半43分、FWアンテ・ブディミルがゴールネットを揺らすも、その前にボールに触ったラゴ・ジュニオールのポジションがオフサイドと判定され取り消しになった。これに対し、フラストレーションを溜めたスタンドからのブーイングは絶えなかった。
そして前半終了後、判定に不満を残した久保らマジョルカの選手たちが、ピッチ上で審判団に詰め寄る一幕があった。さらにスタンドの観衆もピッチを去る際、そして後半開始時にピッチに入った際に審判団に対して激しいブーイングを浴びせたのだった。
久保は前半、ほとんどの時間を右サイドで過ごし、ドリブルを武器にチャンスメークを図るも、セビージャの強さもあって時間の経過とともに好機を生み出せなくなっていった。一方、守備では相手が仕掛けてくるのを待ち、巧みにボールを奪うシーンが何度もあった。
後半は1点をリードしているセビージャがピッチを広く使いゲームを有利に進めた一方、マジョルカはラゴ・ジュニオールやダニ・ロドリゲスのスピードを武器にカウンターを狙っていった。そうしたなか、後半18分にイドリス・ババがセビージャMFジョアン・ジョルダンの足を踏んだプレーがVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)判定の末にPKを取られ、これをMFエベル・バネガに決められ0-2となった。プレーが少し流れた後での判定にサポーターの怒りはピークに達し、これまで以上の大ブーイングが主審に対して飛び交った。
マジョルカはその後、2点をリードして受け身に回ったセビージャ相手に交代枠を使って攻撃に出る。しかし同23分に久保が左サイドから相手DFの間を上手く抜けるパスを通すも、DFフラン・ガメスがシュートに失敗。さらに同41分にも久保が好パスを出すも、フラン・ガメスがまたもやシュートを枠に飛ばすことができなかった。
久保は後半、右サイドでのプレーが圧倒的に多かった前半に比べ、プレーゾーンを大きく広げてボールにより多く絡み、決定的なパスを何度か出すも、味方の決定力不足により、最後までセビージャの堅い守りをこじ開けることができなかった。
マジョルカはこのまま0-2で敗れ、リーグ戦で5試合連続未勝利(1分4敗)となった。通算成績は18試合4勝3分11敗の勝ち点15で、降格圏一歩手前の17位をギリギリでキープしている。
高橋智行
たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。