トッテナム、人種差別問題で“緊急声明”発表 被害のチェルシーDF「公の場で話すことは重要」
トッテナムサポーターからチェルシーDFリュディガーへ クラブは「調査を行っている」
ヒートアップした一戦の中で悲劇が起こった。現地時間22日に行われたプレミアリーグ第18節のトットナム対チェルシー(0-2)で、チェルシーのドイツ代表DFアントニオ・リュディガーが相手サポーターから人種差別被害を受けたことが物議を醸している。
トットナム・ホットスパー・スタジアムで行われたロンドンダービーはトットナムのジョゼ・モウリーニョ監督とチェルシーのフランク・ランパード監督の師弟対決に注目が集まったが、終わってみれば後味の悪さが残る結果となった。
試合は前半12分にショートコーナーからブラジル代表MFウィリアンがドリブルで持ち込み、右足のミドルシュートをゴール右隅に突き刺してアウェーのチェルシーが先制。さらにチェルシーは同アディショナルタイムにトットナムGKパウロ・ガッサニーガのファールでPKを獲得。これもウィリアンが決めてリードを広げた。
後半にはトットナムの韓国代表DFソン・フンミンが退場処分に。ソン・フンミンはリュディガーと競り合って倒れた際に、相手の腹のあたりを蹴り上げるような危険な行為をしてしまい、VARで確認の末にレッドカードが提示された。スパーズファンからはブーイングが鳴り響き、チェルシーGKケパ・アリサバラガに対してスタンドから飲み物の入った容器が投げ入れられるなど、重苦しい雰囲気となった。
こうした騒動のなか、スタンドのトットナムサポーターからは黒人選手のリュディガーに対する人種差別的な発言も行なわれていた疑惑も浮上し、波紋を呼んでいる。リュディガーは試合後にツイッターを更新し、「フットボールの試合でまた人種差別があった。これは本当に悲しいことだが、公の場で話すことは非常に重要なこと。そうしなければ、また数日後には忘れられてしまう」などと投稿し、世界中に向けて発信した。
この件についてはトットナムも声明を発表。「チェルシーとその選手からの情報収集を含め、徹底的な調査を行っている」とし、「人種差別はいかなる形でも許容することはできず、スタジアムでは認められません。 私たちはこのことを非常に重く受け止め、そのような言動をしていることが判明した個人に対し、スタジアムへの入場禁止を含め、可能な限りの措置を講じます」と問題解決に全力で取り組む姿勢を示した。
黒人選手が多くプレーするイングランドのプレミアリーグやイタリアのセリエAではスタジアムでの人種差別行為が頻発しており、サッカー界でも大きな問題となっている。