ドイツ1部で“トップ昇格”の19歳日本人MF 渡欧して感じた「日本サッカーとの違い」は?

「監督にもっとボックス・トゥ・ボックスの選手になれという話をされて…」

 自分の長所を大切にしながらドイツのサッカーにも順応し、プレースタイルにも少しずつ変化が生まれてきた。「アシストが好き」と口にするように、当初ゴールへの意識はそこまで強くなかったが、「U-19の2年目から監督にもっとボックス・トゥ・ボックスの選手になれという話をされて、それからそれができるプレーヤーになったというか、自分としてもなれたかなと。試合前もそういうプレーをしようと自分で思って、それを意識するようになってから得点とかも取れるようになってきた」と説明してくれた。

 ボックス・トゥ・ボックスの選手――つまり自陣ペナルティーエリアから相手ペナルティーエリアまで幅広く動きながら、決定的な仕事にも絡んでいく選手のことだ。U-19での2シーズン目には11得点をマーク。日本で培ってきた技術力とインテリジェンスをベースに、ドイツでよりアグレッシブなプレーを身につけ、幅広い成長を遂げたアペルカンプはU-23に昇格。そして今夏には、さらなるステップを踏むことになった。

(第2回へ続く)

中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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