ドイツ1部で“トップ昇格”の19歳日本人MF 渡欧して感じた「日本サッカーとの違い」は?
好きな選手は「中盤で頭を使ってプレーする選手」
“サッカーをやっていて、どの瞬間が一番楽しい?”というこちらの問いかけに対しては、「自分が最後ラストパスを出して、味方が点を取って、それで勝つのが自分的には好きです。もちろん点を取るのもいいけど、僕的にはゴールよりもいいアシストを出して勝つというのがいいですね」と笑顔を見せるアペルカンプ。好きなスタイルのチームはバルセロナで、好きな選手は「中盤で頭を使ってプレーする選手」として、ドイツ代表MFトニ・クロース(レアル・マドリード)やスペイン代表MFダニ・セバージョス(アーセナル)の名前を挙げる。
「自分は考えてプレーをする選手で、インテリジェンスを大事にしている。最後のパスだったり、相手が思っていないことをやりたいですね」
トライアウトの時点から「普通に自分の実力を出せばできると思っていました。最初からできないとか、そういうモチベーションでいったら、厳しいですから。もちろん、そこは自信を持っていました」と振り返るように、自身のプレーがドイツでも十分に通用するという自負は持っていた。
だが、そこには日本とヨーロッパの“サッカーの違い”もあり、順応させなければならない点もある。日本との違いを尋ねると、少し考えた後にフィジカルに関する点を挙げた。
それはフィジカルコンタクトの強さ云々というテーマ以前に、ボールを巡るバチバチとしたせめぎ合いにアグレッシブに取り組んでいるかどうかが違うのだという。1対1が苦手だからと、怯んではいられない。チーム全体のバランスを崩す元凶になってしまう。
「U-19の監督に『プレーが優しい』って言われて。それまではそうは思っていなかったというか、そこまで分かっていなかったけど、それを言ってくれた時から自分でも考えて、『そうだな』と思うようになって。もっと、そういう場面で行かなきゃいけないなって思うようになりましたね」
中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。