「チームとしてバラバラ」 鎌田大地、急失速のフランクフルトに危機感
なんとかしようとする思いが空回り「クロスの上げ方もラフに上げているだけ」
「最後の部分チームとして工夫すれば、もっとチャンスを作れたと思いますけど。うちはそういう部分が今、まったくできてないので、ああいうふうに数的有利になったとしても、相手としてあんまり怖くなかったと思う。そういう部分は大きな課題になるかなと思います」
鎌田は試合後、そのように分析していた。負けがこんでくれば、選手だって焦り出す。ミスをしないようにというプレーが続いてしまう。ただ、それでは必死に守る相手を崩し、ゴールチャンスを作り出すこともできない。
「クロスの上げ方も、ただラフに上げているだけ。すごく浅い位置から上げているし、ああいう上げ方をされると、僕自身ほぼノーチャンスになる。僕はもう少し、サイドで上手く崩しながらやりたいっていう感覚がありますけど、それが今は難しい部分が多いと思います。みんなボールを受けたがらない選手が多いし。みんなが今、すごいチームとしてバラバラというか、統一できていないという感じがすごいありますね」
鎌田が指摘するように、なんとかしようとする思いが空回りしてしまっているのがフランクフルトの現状だ。それぞれが自分一人で決定機を演出しようとして無理をして、相手に捕まってしまう。上手くいっていないことは誰もが分かっている。だからあがく。でも、すぐにすべてが上手くいくようにはならない。現状を見つめて、そのなかでできること、やるべきことを整理し直すことが大事なのかもしれない。
「しっかり頭の部分だけ切り替えてやっていけば、勝ち点3を取れるだけでだいぶ変わってくると思うので。みんなで上手く頭を切り替えてやらないとダメかなと思います」
続く18日の第16節では下位に沈むケルンに2-4と敗れたフランクフルトは、22日に今年最後となる第17節パーダーボルン戦に臨む。最下位相手の一戦で勝ち点を重ねられるチャンスである一方、もしここでも勝てないと残留争いへと落ち込んでいってしまう。チーム一丸となって乗り越え、上位への道を自分たちで切り開いていけるのか。フランクフルトは踏ん張りどころにきている。
中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。