香川がRマドリード戦で絶妙アシスト 過熱する去就報道に試合後は無言を貫く

タイミング、スピードともに完璧なクロス

 香川は、その後もセットプレーのこぼれ球を左足シュートで狙うなど、キレのある動きを見せ続けた。そして、この日、最大の見せ場が訪れる。同35分、香川が右サイドでボールを持つと、相手GKと最終ラインの間に、タイミング、スピードともに完璧なクロスを通す。そこに、走り込んだチチャリートが頭で合わせ、試合を決定付ける3点目を奪った。
 大会期間中に、チームも、個々の選手も、コンディションを上げてきたマンチェスター・Uが米フロリダのサンライフ・スタジアムで行われる決勝へと駒を進めた。香川も途中出場ながら、絶妙なクロスで1アシストを記録するなど、指揮官へのアピールに成功した。
 しかし、試合後、香川の表情は硬かった。ミックスゾーンではメディアの問いかけに無言を貫き、足早に立ち去った。理由は1つ。自らの去就問題がヨーロッパメディアの大きな注目を呼んでいるからだろう。
 イングランドやスペインメディアはアトレチコ・マドリードが香川に1400万ポンド(24億4000万円)の移籍金を準備し、すでにマンUに対する身分照会を済ませていると報じている。レアル戦前日会見でもルイス・ファンハール監督に香川のアトレチコ移籍に関する質問が寄せられ、「私は分からない。監督だから。いつものうわさではないか」と指揮官自ら火消しに動くほどだった。
 香川自身は2試合連続となるトップ下での起用で躍動。ブラジルワールドカップでは日本代表ではトップ下に本田圭佑が固定されていたために、左攻撃的MFに回り、本来のプレーを見せられなかった。その当時の不振や鬱憤を晴らすようなパフォーマンスを随所に見せた。
 香川をボランチにコンバートしていたファンハール監督も、本来のトップ下でのプレーを高く評価。そして、現有戦力の働き次第では今後の補強を凍結する可能性も示唆している。現在トップ下で重用されているマタを上回る活躍を見せれば、レギュラーとしてプレー時間を確保できる可能性もある。
 オランダ人指揮官の下で定位置奪回を狙うのか、アトレチコからオファーが届いた際には、念願のスペイン挑戦を果たすのか。今の香川はどちらのチャレンジにも胸を張って挑める状態にある。

【了】
サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web

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