「このままでいいのか?」 森保采配に金田氏が疑問符「ゲームを変える力を見出せない」

交代枠を残す采配もあった森保監督【写真:Yukihito Taguchi】
交代枠を残す采配もあった森保監督【写真:Yukihito Taguchi】

「選手交代などで大胆に試合の流れを変えるような采配が見られない」

 チームとして攻守における共通の絵が描けていないことを指摘し、「一番困っているのは選手。ピッチ上でおどおどしているように見える」とも語った金田氏だが、もう一つ、今後に向けて不安を募らせているというのが「ゲームを変える力を、森保監督の采配から見出せない」ことだという。

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 “相手ありき”のサッカーにおいて、試合前のゲームプラン通りに試合が進まないことは多々ある。そうしたなかで、いかに臨機応変に対応できるかは、W杯や五輪という結果が問われる“本番”を見据えればチームとして問われる点だ。

 しかし、11月19日に行われたベネズエラ戦(1-4)では前半だけで4ゴールを叩き込まれた。国際親善試合であり、選手個々の能力を見極めていたのかもしれないが、それでもあそこまで序盤からチームとしてハマらない状態であれば、ベンチからの指示による修正は必要だったが、前半の日本に変化は生まれなかった。

 金田氏は試合中の采配の「遅さ」を感じており、「上手くいっていない状況、明確に1点を奪うために動かなくてはいけない展開のなかで、選手交代などで大胆に試合の流れを変えるような采配が見られない」と、後手を踏むベンチワークが今回の韓国戦やアジアカップ決勝のカタール戦(1-3)など、公式大会の要所となる試合で敗れていることにもつながっていると指摘する。

「森保監督は温かい人柄で、現役時代のプレースタイルと同様に粘りがあり、周りの人にも配慮できる人間性の持ち主だというのは、私もよく分かっている。そして指導者としてもJ1リーグを3度も制するというのは、並大抵の努力では成しえない素晴らしいことだ。しかし、W杯出場を目指す日本代表と東京五輪を目指すU-22代表を兼任する今の森保監督の采配、ピッチ上で展開されるサッカーには正直、首を傾げざるを得ない」

 このように疑問を呈した金田氏は、最後に2019年の戦いぶりを踏まえて、日本サッカー協会がどのように現状を捉えているのかがポイントだと語った。

「11月のU-22コロンビア戦、ベネズエラ戦、そして今回の韓国戦と低調なパフォーマンスが続き、チームに今後の成長を予感させるような戦術的なベースが見られない以上、『このままでいいのか?』という疑問は拭えない。例えば負担の大きい“兼任”を見直し、五輪代表かA代表に森保監督を専念させるのも一つの手だろう。今の日本代表の現状を、日本サッカー協会はどのように考えているのか。東京五輪、そしてW杯アジア最終予選の開幕まで残された時間は少ない」

[PROFILE]
金田喜稔(かねだ・のぶとし)

1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。
 

(FOOTBALL ZONE編集部)



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