「このままでいいのか?」 森保采配に金田氏が疑問符「ゲームを変える力を見出せない」
“行き当たりばったり”のサッカー「レシピがなくては料理はできない」
金田氏は2018年ロシアW杯後に森保監督が就任し、9月から11月にかけて行われた国際親善試合で4勝1分と結果も伴っていた時期、指揮官が選手の個性を尊重したチーム作りを行っていたことを好意的に見ていた。
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「それぞれの選手がピッチに立って良いところを出し合い、それがコンビネーションとなって組織力へと昇華し、コミュニケーションも深まるなかでチーム全体のレベルアップを図っていく。自らのチームに誰が必要で、誰が必要でないのか。戦力を見極めるうえで、就任当初の森保監督のスタンスはアジアカップという公式大会まで時間がなかったことを考えても、自らのカラーを押しつけすぎずに、まずは“見守る”チーム作りをしているのだと感じていた。
もっとも、そうやって見極めた“個の力”をチームに当てはめるためには、当然戦術的なベースが必要。そこが、1年以上が経過した現在も見えないところが最も不安を抱くところであり、チームとして成長できているのか確信が持てないことにつながっている」
確かに今回のE-1選手権には、欧州クラブに所属する従来の主力選手はいなかった。しかし就任から1年半が経過し、今大会を含めて28試合を戦ってきたことを考えれば、チームにはベースとなる戦術が植えつけられているはずで、経験の浅い選手もそれを基にプレーすることで自身の力を発揮し、今後の代表に生き残れるかが判断されるべきだろう。しかし金田氏は「海外組も含めて、今の日本には非常に良い“素材”がいる」としたうえで、「その素材をどう料理していくのか、監督は“レシピ”を提示しなければいけないが、それができていない。素材だけでは頑張りようがないところに来ていると思う」と、韓国戦でも見えていた問題点を指摘する。
「韓国は4-3-3のシステムで、日本の3-4-2-1に対して3トップは高い位置からボールを追ってくる。そして両ウイングバックの橋岡(大樹/浦和レッズ)と遠藤(渓太/横浜FM)のところにボールが入った瞬間、明らかにそこを狙って相手のサイドバックは前に出て、中盤は横からプレスをかけていた。韓国に明確な守備の狙いがあるなかで、日本はどうやって対抗するのか。開始から15分から20分が経過した後、例えば橋岡や遠藤にボールが入った時に相手のサイドバックが前に出てくるのなら、その空いた背後のスペースに前線の選手が素早く流れて起点を作るのか、その動きに応じて誰が後方からサポートに出ていくのかなど、チームに共通理解があれば明確な狙いを基にした連動性が生まれるはず。しかし韓国戦での日本からは、相手の守備を崩すためのメカニズムは感じられなかった。
それは守備面でも同様で、1トップの上田(綺世/鹿島アントラーズ)が前線から追いかけ、2シャドーの鈴木(武蔵/北海道コンサドーレ札幌)と森島(司/サンフレッチェ広島)がどのようにして相手のパスコースを切り、最終的に両サイドのどの位置でボールを回収するのかといったイメージが、チーム全体で描けているようには見えなかった。悪く言えば、“行き当たりばったり”のサッカー。攻守におけるシステムと対戦相手との力関係を鑑みたうえでの戦略が欠けているなかで、選手に頑張れというのも酷だと感じる」